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「被災地の詰まったトイレ掃除」を買って出たグルメバーガー名店の社長が語る“幸せ”とは

北浦明雄(株式会社ブラザーズ代表取締役)

2023年01月19日 公開 2024年01月25日 更新

 

差し出された「ヘルプ」を受け入れることも大切

ヘルプは、与えるのと同様に、受け取ることもまた大切です。ヘルプを受け取らなければ、相手のヘルプを挫折させてしまうことになるからです。人は自分が誰かの役に立ったと感じると、とても元気になります。

私がヘルプについての考えを深めるきっかけとなった1つのエピソードがあります。

東日本大震災の時に、私は妻やスタッフと一緒に、宮城県の女川町へボランティアの一員として二度訪れました。一度目に行ったときは瓦礫の撤去作業が主でしたが、二度目に行った時は雨が降っていて危険だったため、瓦礫撤去はできませんでした。

せっかく来たのに何もしないで帰りたくはなかったので、近くの学校を訪問して何かできることがないか聞いて回りましたが、断られ続けました。

そんななか、ある学校に寄って、「どんなことでもやります」と伝えたところ、唯一お願いされたのがトイレ掃除でした。学校にあるトイレは、震災のため水が流れず、汚物が便器に溜まり、ほとんどが使用不可になっていました。そのトイレを掃除できることは、私たちにとって、やっと役に立てる機会を与えてもらえた嬉しい出来事でした。

汚物を手で取り除き、便器を磨き、便器に水が流れるようにして、各階のトイレを掃除して、使用可能にしていきました。学校の職員の方たちもとても喜んでくれて、美味しい豚汁をご馳走してくれました。私も「役に立つことをさせてくれてありがとう」と、逆に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

この経験を通して、私はヘルプを受け入れてもらえることのありがたさ、人から差し出されたヘルプを受け取ることの大切さを知ることができたのです。

 

一人ひとりが社会のために行動すれば

グルメバーガー店の経営以外に私たち夫婦が続けているヘルプの活動の1つに、寄付活動があります。創業当時から20年以上続けています。開業してから貯金というものをしたことがありませんが、お金に不安になることはなく、不思議と困らないのです。

世の中には、社会のためになる活動をしている団体がたくさんあります。そのような価値ある団体に寄付をすれば、彼らは価値ある活動を継続することができます。

世の中で起きていることは、自分や自分の家族に起きていることと同様に、自分の一部でもあります。一人ひとりが、自ら社会のためになる活動をしたり、そのような活動をしている人たちを支援したりすれば、世の中は一歩ずつハッピーになるはずです。

与えて、与えて、与えまくる。
ヘルプし、ヘルプし、ヘルプしまくる。

ヘルプすることは、自らの「愛」と「勇気」を行動に表したものなのだと思います。ヘルプの大切さに気づき、あらゆる方がヘルプを提供し合うことで、世の中がより良くなっていくことを願っています。

 

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