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もとは八福神だったのに...いにしえの人々が「七福神」に懸けた願い

マーク・矢崎(日本占術協会認定占術士/日本占術協会理事)

2024年01月02日 公開

 

勝負の神様 毘沙門天(品川寺)

荏原神社から旧東海道へ戻って品川橋を渡り、青物横丁の商店街まで足を進めると、右手に品川寺という大きなお寺がある。

このお寺は本堂に、東海七福神の毘沙門天が安置されているのだけれど、実は、境内の鐘楼が立つ築山の足元にはもう1つ、金生七福神の七体の神様の像がたたずんでいる。

金を生むと書いて「かのう七福神」。いかにもお金持ちになれそうなご利益様なので、品川寺をお参りしたら、ぜひこの七福神もめぐってほしい。

品川寺に祀られている毘沙門天は、別名を多聞天とも言い、仏教に帰依する人たちを守る四天王の一人で、北の守りを受け持つ武運の神様。しかし本来は、インドの鉱山の神様で、金銀財宝のお宝はもちろん、武器の材料として貴重な鉄を生み出す神様として、福の神でありながら、勇壮な武人の姿で描かれている。

だから毘沙門天は、受験やスポーツなどの勝負事には必勝の神様だけど、とくに仕事や懸賞、ギャンブルなど、お金を生み出す勝負事には、とくにご利益があるかもしれない。

このとき、この青物横丁で、毘沙門天のご利益を信じて、ジャンボ宝くじを買ったのだけれど、毘沙門様と金生七福神は、ぼくにご利益をくれるだろうか? 南極星の化身は福の神?

 

福禄寿(天祖・諏訪神社)

品川寺から次の福禄寿が祀られている天祖諏訪神社まで、旧東海道を歩いて行けるが、距離があるので、品川寺裏手の青物横丁駅から京浜急行に乗ることにする。

各駅停車で2つ目の立会川駅で下車、駅前の通りを左に行くと、坂本龍馬の銅像がある。銅像の前の橋を渡ると、東海七福神の福禄寿を祀る天祖・諏訪神社の裏口がある。

渡った橋が弁天橋で、裏口から入ると目の前にお堀があり、石橋の向こうには弁天様と呼ばれる厳島神社が祀られている。実は、ここは東海七福神では、弁財天ではなく、なぜか福禄寿。そんな疑問を抱きながらも、大人の事情なんだなと納得をしつつ境内奥の本殿へ。

福禄寿は、南極星の化身で、財宝を表す福と、人望を表す禄と、長寿を表す寿の3つのご利益を与えてくれる神様...そう、福禄寿と寿老人は同じ南極星、りゅうこつ座のカノープスという星の化身とされている。

この福禄寿様は、普段は本殿の拝殿脇に鎮座ましましているのだけれど、元旦から15日までの七福神めぐりの間は、社務所の前に置かれて何とおさわり自由なのだとか。

とくに福禄寿の長い頭はそれだけ頭脳がつまっているとされているので、この広いおデコに頭を押しつけたら、頭脳明晰となって受験や習い事にご利益いっぱいありそう。

 

財宝、縁結びの女神 弁財天(磐井神社)

次の磐井神社まで諏訪神社の参道前の旧東海道を右へ進めば、行けるのだけれど、やはり距離があるので、立会川の駅まで戻り、京浜急行で行くことにした。

大森海岸で下車して、第一京浜国道沿いを南へ進むと、右手に大きなイチョウの木がそびえる、東海七福神の弁財天を祀る磐井神社がある。

実はこの神社、今は第一京浜国道に、境内のほとんどを削られてしまっている。本来は中央分離帯を挟んで、国道の向こうまで、参道が続いていたのだとか。

それを思わせる井戸が国道の歩道上にあり、善人が飲むと真水になり、悪人が飲むと塩水になると言われる磐井の井戸。磐井神社の名前の由来になっているのだとか。

東海七福神の弁財天はこの磐井神社の左端にあり、大きな池に囲まれた島に弁財天の社殿が建てられ、赤い橋がかけられている。

弁財天は七福神の中では紅一点の女の神様で、インドの川の女神と伝えられている。昔は川の砂鉄から鉄を作ったり、砂金から金を作ったりしたので、金属の精錬や鉱山の守り神とされて、それが転じて財宝の神様となった。

弁財天は楽器の琵琶を持っていて、川のせせらぎの清々しい音色を奏でると伝えられ、音楽や習い事などの芸事や才能の神様でもあると伝えられている。

恋に悩む女性の味方にもなってくれる、というのだが、とてもヤキモチ妬きの女神様なので、その境内で男女がベタベタするとヤキモチを妬かれて、何か障害が起こるというので注意してほしい。

お正月におすすめの、七福神めぐりを紹介したけれど、七福神めぐりは、日本全国に広まった風習で、各地で○○七福神と銘打って、あなたの住む町の近くにもきっとあると思う。

お正月の行事として、期間限定でご開帳されていることが多いので、公開されている期間を、必ず確認してほしい。

 

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