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いくつ当てはまる? 「SNS依存症」傾向にある人の行動パターン

中島美鈴(臨床心理士/公認心理師/心理学博士)

2023年06月19日 公開

 

SNSにハマる4つの理由とは?

ここによくあるSNSにハマる4つの理由をご紹介したいと思います。

【よくあるSNSがやめられない4つの理由】

1. 有名人のLive 配信を観ることができる(活動が得られる)
2. 仲間と交流できる(活動が得られる)
3. 注目される(社会的注目)
4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)

 ひとつずつ解説してきます。

1. 有名人のLive 配信を観ることができる(活動が得られる)

今や芸能人だけでなく、人気のカフェの店員さんでも、美容師さんでも誰もが配信者になって、歌、おしゃべり、ダンスや漫才、How toノウハウなど、実にいろんなコンテンツを配信しています。これらが楽しくてSNSにハマっている人が多いのです。

一緒に今という時間を共有しているという感覚も満足感を高めているようですし、コメントなどで有名人と気軽に相互交流できるのも魅力でしょう。

2. 仲間と交流できる(活動が得られる)

ここでは、有名人対大勢のリスナーという形ではなく、ごく仲間内で投稿に対してコメントし合う場面を想定しています。

遠方に住んでいたり、多忙だったりしてなかなかリアルで交流できない仲間同士が、SNSで交流します。SNSが生まれた当時は、この機能は画期的でしたね。ハマりの理由のひとつです。

3. 注目される(社会的注目)

SNSでは、日常風景を効果的に切り取り、加工して、いわゆる「盛る」ことで自分の見せたいイメージに近づけることができます。

リアルよりも印象が操作しやすいため、SNSでは注目を集めることが比較的簡単です。このリアルよりも「簡単」であることが、ハマりを加速させているようです。

4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)

仲間内で投稿し合うSNSで、交流が活性化して仲良くなれるかというと、そうでもないようです。

「あの子って、投稿しないし、コメントも返さないから感じ悪い」と返事が遅れることや、同じような集団規範に沿った投稿をしないことで、批判されるリスクがあるのです。

そのため、気乗りしなくても「仲間はずれにされたくない」「置いていかれたくない」など、「コミュニティからの排除」を避けるためにしかたなくSNS漬けになっている人もいるようです。

一言に"SNSハマり"といってもいろいろ理由がありますね。

 

SNSハマりから抜け出すための代替行動

それでは、一体SNS依存から脱出するにはどうしたらいいのでしょう。代わりに何をしたらいいというのでしょう。

先ほど挙げたSNSにハマる理由別に対処することをおすすめします。4つの理由のうち、最初の2つ、つまり「1. 有名人のLive 配信を観ることができる(活動が得られる)」、「 2. 仲間と交流できる(活動が得られる)」に関しては、日常生活に大きな支障が出ない限りは健全な理由であると言えますので、深刻に対処策を考えなくてもいいのかもしれません。

しかし、残りの2つのハマりの理由、

3. 注目される(社会的注目)4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)は、対策を考えなければちょっと問題が起こりそうです。

「3. 注目される」への対処法

まず、「3. 注目される(社会的注目)」が理由である場合には、盛らない等身大の自分を受け入れてもらえる場を見つける、つくることをおすすめします。

SNSという虚構の世界では「いいね!」が集まるという、わかりやすい承認が目で見て得られます。

これにハマらないわけがありませんし、それをやめられないのもうなずけます。そこを完全にやめる必要はありませんから、少なくとも誰かひとりでもリアルの世界で、あなたのかっこ悪くてダサい一面を受け入れてくれて、それでも「いいね!」と言ってくれる友人、家族、恋人などをつくりましょう。

そんな素晴らしい関係を築くことができれば、SNSの時間よりもその人に会う時間を優先するはずです。やはりリアルは素晴らしいのです。

「4. 仲間はずれを避けることができる」への対処法

「4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)」がSNSにハマる理由である場合、私は2つの作戦をおすすめしています。

「そんな同調行動を強いてくる集団にはもういなくていい」がシンプルな答えでしょう。自由につき合う人を選べていくつか世界を持っている大人にはそうすすめます。

しかし、「このクラス以外に居場所がない」「このグループ以外に居場所がない」というような学生さんや、閉鎖的で小さな規模の職場でこうしたことが起こっている場合、その人間関係から脱出するのは容易ではありません。

こうした場合「SNSをするかしないか」という白か黒の2択ではなく、その間のグレーをとるような対応をすすめます。

たとえば、これまで仲間の投稿がアップされれば即座に「いいね!」をつけて、必ずコメントしていた人がいたとします。仲間も競うようにそうしているでしょう。この空気の中で、「いいね!」もコメントも全くしないというのは非現実的です。

そこで、「いいね!」だけにする、コメントはあとで時間のあるときにする、すべての投稿に対してではなく時々コメントをする、こういったグレーな対応はいくらでもできますし、おすすめです。

きっと「そんなことしたら、嫌われてしまう」という懸念もあるでしょう。でも、周りから「あの人には即レスは期待できない」とあきらめてもらって、そうしたキャラづくりをすることも有効です。

人の期待にこたえたい、嫌われたくない、いつもいい子でいたいといった思い込みは、思春期までに捨てましょう。白か黒かの思考に陥らないでください。SNS上では、人との関係を「ブロック」する機能があります。こうした、「すごく仲良くするか」「ブロックして断絶するか」という白か黒かの態度は、リアルの世界に影響が出て非常に危険です。

そんなことをしていたら、ひとりぼっちになってしまいます。自分の気持ちも落ち着きません。そうではなく、ほどよい距離感でつき合えるグレーの選択肢をたくさん自分の持ち札としてつくっていきましょう。

 

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