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定年後、時給1200円の入力バイトに...一流企業の元部長が“プライドを手放した理由”

大塚寿(エマメイコーポレーション代表取締役)

2023年09月23日 公開

 

やりがいなのか、お金なのか

役職定年後、マンション・デベロッパーからグループのマンション管理会社に転籍した同級生の話なのですが、マンションの管理人というのは募集すると、なかなかのキャリアの人が集まり、結構、高倍率になるそうです。

そういえば、10年ほど前、売上数兆円企業で関連会社の役員を61歳で退任したEさんは、再就職先としてマンション管理を選びました。

建築学科の出身で元々はハウジング事業に所属されていたので、自然な流れかもしれませんが、超大手企業の元部長で関連会社の取締役まで務めた方が、なぜマンション管理なのだろうと当時は不思議に思っていました。

奥様からは「70歳までは働いて」と言われていたそうですが、ご本人はそれなら一番好きなことをやろうという判断だったようです。

マンションの管理人というのは、キチンとやると住民から「ありがとう」と感謝される、やりがいがダイレクトに感じられる仕事なのだそうです。近い業界にいた人なので、その事実をご存じだったのでしょう。月給は10万円代といわれる職種ですが、やりがいからすると隠れた人気職種だったりします。

やりがいという意味では、同じ過疎地の出身で国語の教師を定年になったFさんは、國學院大學に学士編入して神主の資格を取得しました。地域の神主さんが絶えてしまったので、その役割を果たそうとしただけでなく、神主として地域とつながっていたいという動機もあったのでしょう。

同じ国語の教師だったGさんは校長を定年になった後、図書館に勤務しつつ、もはやライフワークとなったアクティブラーニングの授業を定期的に主催しています。 

学童や地域社会の様々なボランティア活動を含めた話ですが、子供が独立して、住宅ローンの心配もなくなった人たちの中には、やりがいを求めてアクティブに活動する人が少なくありません。

 

稼いだお金は自身のためだけでなく、子や孫のために

一方、60代になろうが、40代、50代以上に、ますます稼ごうとペースダウンなどせずに仕事に邁進する人もいます。

そもそも売上の拡大や収入を増やすこと自体が好きな人というのは、60代になろうが70代になろうが、仕事自体がなくならないかぎりは働き続けています。

ある税理士事務所の代表が言っていましたが、経営者の退職金として用いられる保険商品があって、あらかじめ退任するであろう年齢で解約すると最も有利な設計にしたにもかかわらず、そのタイミングが来ても引退する人はいないのだそうです。

みんな保険で損をしようが、現役を維持するそうで、とうとうその税理士法人の代表社員のほうが先に引退してしまいました。 

60歳からの転職、あるいはもっと有利な条件が引き出せる55歳からの転職活動でも、思い切り収入の高さを追求したり、就業規則で副業が許されるなら副業を加えて、使えるお金を増やしたりしてみてはどうでしょうか。

やはり、自由にできるお金が増えると豊かさを実感できますし、外食でも旅行でも楽しみを自由に増やすことができます。

自身の老後を豊かにというのもありますが、孫の教育費の援助であるとか、子供に何らかの援助ということを考えても、頼もしい親であることは子供や孫を甘やかすことにはならないと思います。

都市部に自宅をお持ちの方や何らかの資産をお持ちの方はすぐに相続税が課される税制に変わってしまっているので、子供に負担をかけない程度のお金は残しつつ、稼いだお金はご自身や子供さん、お孫さんのためにどんどん使ってしまうことです。

 

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