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東京より出会いが多様? 「北海道に移住した都会っ子」が語る不便な暮らしの豊かさ

志田芳美(株式会社FoundingBase)、小林実央(PHPオンライン編集部)

2023年09月19日 公開

 

「地方は排他的」は本当?

地方移住で気になるのは、「地方=排他的」という噂。初めて田舎暮らしをする人にとってはかなり気がかりな要素ですが、志田さんは「全く問題がなかった」と明かします。

「北海道はそもそも開拓地ですし、移住者が多いこともあって、よそ者扱いされたことはありません。移住してから地域の子どもからお年寄り、農家の方々など、関わる人の幅が一気に増えましたが、みなさんフレンドリーで温かい人ばかりです」

明治時代に多くの移民たちが北海道へ渡って土地を開拓した歴史や、近年の自治体による積極的な移住支援の影響もあり、北海道には移住者を受け入れる体制が整っているそう。よそ者ではなく、地域の一員としてコミュニティに受け入れて貰えると、志田さんは太鼓判を押します。

しかし移住先が温かく受け入れてくれても、移住者が暮らしを楽しめるかはまた別の話。ポイントは「暮らしにかかる手間を楽しめるか」にあるのでは?と志田さんは本音を打ち明けます。

「正直なところ、多少の不便を楽しめない人には田舎暮らしはきついと思います。暮らしにかかる手間が色々あります。東京であれば管理会社が行うような作業を、地方では住人が行う必要があります。雪かきを筆頭に、細かいところだとゴミの分別もかなり丁寧にやらなきゃいけなかったり。私もよく間違えて注意されることがしばしばです(笑)。

雪かきは大変な作業ですが、近所のおじいちゃんおばあちゃんの家の雪かきを手伝ってあげると、お礼として食材をもらえたりします。地域の人と助け合って問題を解決していくカルチャーなんですよね。これを面白いと思える人には、地方移住はオススメです。不便だと思えることでも、助け合ったり、有難いと思えるスタンスは大事だと思います」

都会暮らしの利便性に慣れきっていると無駄と感じるような作業でも、自分の責任で行うことが求められるのが田舎暮らしの大変な部分であり、醍醐味とも言えるのかもしれません。

 

地方で得た「充実したコミュニケーション」

北海道安平町

安平町には月に一度「大人の探究プロジェクト」と称して、地域住人が自主的に開催する意見交換会があるといいます。

「参加者には議員の方や役場の方、会社員など、安平町の住人が参加しています。そこではひと月の仕事や暮らしの振り返りをするんです。ほかにも朝の読書会を開いたり、地域住民が話しあう機会が多く設けられていて、自分にも居場所があると実感させてくれます」

「東京よりも意外と田舎のほうが出会いの豊富さがあるんじゃない...?」と笑顔で語る志田さん。北海道と東京では人々とのかかわり方に違いがあるというのです。

「北海道に来て、関わる人々の多様さが増しました。一日に0歳から100歳までのいろんな人たちと会話をするんです。東京に住んでいると、大学時代の友人や、会社の同僚など、日々で関わるのは限られた人だけでした。

東京のコミュニティにいるのは、似たような生い立ち、似たような学歴...同質の属性の人たちばかり。もちろんそれは居心地が良くて楽しいです。でも、北海道ではこれまで出会ったことのない経歴の人たちと、価値観を変えるような刺激的なコミュニケーションをとっています。それがすごく楽しいんです」

【志田芳美(しだ・よしみ)】
1996年生まれ。東京出身。大学時代は立教大学に進学しスポーツ栄養を中心にウェルネスとしてのスポーツについて学ぶ。卒業後はリクルートに入社し、中途採用の法人営業を行い、幅広い業界の採用支援を行う。その後2021年4月にFoundingBaseにジョイン。安平町にて教育チームリーダーとして、あびら教育プランの運営・推進に携わる。

 

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