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「転職市場で価値のある人」ほど習慣化している学習とは?

大賀康史(フライヤーCEO)

2023年10月13日 公開

 

市場価値と市場環境

平均年収トップ20の企業という、興味が持たれやすいテーマについても記載があります。トップ20社の内訳をみると、金融サービスが5社、商社が5社、そして不動産が4社です。最近のトレンドから今後はAIを構築できるIT企業も増えていくかもしれません。

働く環境という観点では、もちろん年収は一つの要素にすぎません。

本書では、①業界の年収水準、②業界・自社の成長性、③自身の成長可能性(裁量・経験)の3つの軸が挙げられています。そして志望するあるいは所属する会社がこの3つをどれだけ満たしているかが大切です。

3つ全て合格点なら「期待の星」タイプの会社です。そして年収水準だけが満たされて、成長性や自身の成長可能性が不十分なら「ぬるま湯」タイプ、今の年収水準は低くても成長性が高ければ「夜明け前」タイプ、いずれも低ければ「沼地」タイプです。

この型の診断はとても興味深いので、皆さんもぜひ今の会社や自分の役割がどのタイプに当てはまるか考えてみてはいかがでしょうか。

その人の今の状況にもよるとは思いますが、比較的若い人であれば②③の成長性の方が大事でしょうし、中堅以降であれば全体のバランスが大事なようにも思います。自分の価値観をちゃんと知り、それに沿った環境を選択していることが重要なのです。

 

しなやかで強いキャリアを築くために

キャリア論でI型人材、T型人材、H型人材などと言われる区分があります。その詳しい説明は本書などを参照いただければと思いますが、端的に言えばその人の強みの深さと広さの形状を示します。

1つの専門性のみ深めていればI型で、加えてより広い経験もあればT型、さらに複数の専門領域があるH型、他者の専門性も掛け合わせられるHH型となります。

変化の激しい時代ではI型人材が長く活躍しにくくなり、これからはH型やさらに進んだHH型人材が求められやすいと言います。ただ、やみくもに色々なことをすればいいのではありません。中途半端な強みは人生を支えるものにはなりえません。

成果は多様なマイクロスキルの組み合わせを適時適切に発揮することで得られます。そのため、人とは違った自分ならではの成果の出し方があります。そして成果の出し方には他の業種や職種に移っても、多くの場合には再現性があります。

環境にも個人差があるので安易に一般化はできませんが、あせりすぎず、成果を出せるようになるまで腰を据えて努力することも必要なときがあるとも言えそうです。

 

得意は好きには勝てない

器用に仕事を進める人と好きなことに取り組んでがむしゃらな人を比べると後者が大きく育つようにも感じています。

20代のころ、厳しいことで有名な上司から、君は打率2割6分ホームラン0本のバッターに見える、というフィードバックを受けたことが自分の生き方を変えるきっかけになりました。

その言葉の意図は、合格点にも到達しない程度の成果に満足せずに、もっとがむしゃらに向かってこい、ということだったのだと思います。どちらかと言えば、器用に仕事をしようとしすぎていたのかもしれません。

キャリア形成には自分との対話が不可欠です。人からのフィードバックによってきっかけを与えられることもありますし、自分との対話により適した手段は読書だと感じられます。

本に向き合っている時間はインプットのきっかけになるだけでなく、ページを止めて考え事をしている時間こそが重要な時間になりえます。考え事をはじめたときに、自分との対話がはじまります。

本書は想定の読者の水準を一般的な水準におかず、輝かしいキャリアにしようという強い想いを持った人を対象に書かれているように思います。

552ページにわたって、著者の強い信念が感じられる一冊です。理想とするキャリアに近づいていくために、本書を通読して、新たな気持ちで毎日の仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

著者紹介

フライヤー(flier)

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