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生き方

脳科学者が分析する「運がいい人」の2つの特徴

中野信子(医学博士)

2023年10月27日 公開

 

「占い」をどう考える?

正直なところ、私は占いをあまり信じていません。科学的な根拠には乏しいからです。ただ、占いの効能というか、意義みたいなものはあると思っています。

たとえばカウンセリングの分野において、カウンセラーがクライアントの話を聞き、「あなたはこういう性格ですね」と伝えてあげることで相手の心を解きほぐすというテクニックがあります。

占いも、自分の悩みを打ち明けたり、性格分析をしてもらったりしますよね。占いで出た言葉そのものに信ぴょう性があるかどうかはさておき、その言葉が心の緊張をやわらげ、本当の気持ちと向き合うきっかけになるなら、有効と言えるのではないでしょうか。

 

持って生まれた運だけで人生は決まらない

人生における「運」は、「テキサスホールデム」というカードゲームに似ています。プレーヤーごとにあらかじめ配られた2枚のカードに5枚の共有札を組み合わせた、合計7枚のカードで競うポーカーゲームです。

最強の2枚、と思えるようなカードが手元に配られても、テーブル上に展開されていく他の5枚次第で、強かったはずの2枚が残念なカードになってしまうこともあります。逆に、弱いカードを2枚与えられたとしても、他との組み合わせ次第では勝つことができます。

また、多くの勘違いが起こりがちだというところも人生に似ています。このゲームでは、「相手より少しでもよい手(強い組み合わせ)を作ること」が勝ちだと無意識に思い込んでしまう人がとても多いのですが、実は違います。

まったく誰にも勝てそうにない弱いカードでも、うまく知恵を使って「チップ(ゲーム用通貨)を増やすこと」が勝ちなのです。こういうトリックに自分が引っ掛かってはいないか? と常に考える習慣をつけるのも、幸運を引き寄せるためのよいトレーニングになるでしょう。

最初に配られた2枚の持ち札は、持って生まれた運のようなもの。「身長」「運動神経」「家柄」「性別」などです。そこに、「世相」「状況」「人脈」などの新たな運が組み合わさりながら、人生は進んでいくのです。

そう考えると、人生は戦略次第で、自由に変えていけると思いませんか? 手持ちの運を生かすも殺すも、自分で決められるのですから。

戦略を立てるときのポイントは、持っている情報を生かして工夫すること。これらの情報は、人生経験により蓄積されていくものですが、もっとも手っ取り早く情報を得たいなら、本を読むことをおすすめします。ジャンルを問わず、本には多くの先人たちの「生きるための戦略」が詰まっているからです。

「ツイていない......」と落ち込んでいる時間を、ぜひ読書にあててみてください。人生をよりよくするための戦略に、著作権なんてありませんから(笑)、使える戦略はどんどん盗んで、自分のものにしていきましょう。

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運を生かせる人の共通点

著者紹介

中野信子(なかの・のぶこ)

脳科学者

医学博士。東京大学工学部応用化学科卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2008年から‚10年までフランス国立研究所ニューロスピンに勤務。帰国後、メディアや講演など幅広く活躍。脳科学、認知科学の最先端の研究業績を一般向けにわかりやすく紹介することに定評がある。『エレガントな毒の吐き方』(日経BP)など著書多数。

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