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生き方

科学的に証明された「運がいい人・悪い人」の違い

西剛志(脳科学者)

2023年11月17日 公開 2024年02月05日 更新

 

「やりたいこと」を見つけるためには?

それでは、運を高めるために大切な「やりたいこと」を見つけるには、どうすればよいのでしょうか?著書でも大きく7つのワークとうまくいく人達の習慣を紹介していますが、その1つをお伝えしたいと思います。

それは「人との出会い」を増やすことです。

なぜなら「やりたいこと」に関する情報はほとんどが人を介してやってくるからです。

運のいい人と悪い人の違いを調べた研究があります。その1つが「出合いの数」(人との接触面積)でした。新しい出合いの量が、その人の運を左右しているというのです。実際に「やりたいこと」を実現するためには、たくさんの機会(人を含む)との出合いが重要であることがわかっています。

ちなみに、リンゴを取るためにいつも同じリンゴの木に行く人と、違うリンゴの木に行く人とではどちらが運がよいでしょうか?

答えは明らかに後者です。同じ木に行く人は、いつしかそのりんごがなくなってしまうかもしれません。一方で毎回違う木に行く人は、つねにリンゴを取ることができ、しかもいろいろなリンゴの味まで堪能できます。

これは私達も同じです。楽しい仕事の多くは「やりたいこと」をしながら生きている人たちが持っています。そのため、こうした人たちの輪に入ることは、そのぶん「やりたいこと」と巡り合うチャンスも多いのです。

オンライン全盛の時代です。人と直接会わなくても、コミュニケーションが成立してしまいます。そうしたなか、相対的に「人と会って話すこと」の価値が現在改めて見直されています。

「最近いい運が巡ってこないな」と感じる人は、ぜひ新しい出合いを意識してみてください。

 

「ミラーニューロン」は運を高めるカギ

もう1つ大切なことは、「やりたいことを実現している人」のモデルを探すことです。その理由は、脳の「ミラーニューロン」の働きで「やりたいこと」をしている人を見ると、自分もその人の考え方や行動に影響を受けるからです。

私たちは、相手の動作を見ると無意識のうちに脳内で相手の動作を真似ています。ミラーニューロンとは、その際に活動的になる細胞です。

裏を返すと、日本人が仕事に生きがいを感じないのは、「やりたいこと」で生きている人との出合いが少ないからかもしれません。そうしたモデルと出合えないと、自分が「やりたいこと」で生きる姿を想像することも難しいでしょう。

逆にいえば、「仕事に生きがいを感じていない人」のモデルに事欠かないのが日本ともいえます。周りにダラダラ働いている人がいたら、「自分はこうなりたくない」とは思いつつも、同時に「人生こんなものかな」と思ってしまうのです。

今、「やりたいことがない」と悩んでいる人は、職場や取引先など、いつもの顔ぶれではなく、違う環境の人と会ってみてください。どんな分野でも構いません。もしくは、YouTubeやInstagramなどの動画やテレビ番組などの映像で出会う方法も有効です。

出会いが人生を変えることは多々あります。全てでなくても部分的に「ここは素晴らしい!」と思える人でも大丈夫です。リアルでもネットでも新しい出会いを意識されてみてください。運は人を介してやってきます。

 

著者紹介

西剛志(にし たけゆき)

脳科学者

1975年生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。工学博士取得後、国家公務員を経て新会社を設立し、世界的に成功している人の脳科学的なノウハウや才能を引き出す方法を講演会などを通して1万人以上に提供。『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)など著書多数。

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