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300年読み継がれる健康書が記した「最も身体をむしばむ2つの感情」

貝原益軒(著),奥田昌子(編集)

2023年12月18日 公開 2023年12月25日 更新

 

どんなに忙しくても養生はできる

引退した高齢者や、若くても社会を離れてのんびり暮らしている人はいざ知らず、日々仕事に明け暮れ、忙しくしている人には養生する暇などないし、そんなことをしていたら体がなまると言う人がいる。

これは養生を知らないがゆえの誤解だ。養生とは体を甘やかすことではなく、心を静め、体を動かすことである。流れる水が腐らず、ドアの蝶番が錆びないように、よく動くものは長持ちし、使わないものはだめになる。老若男女を問わず、ダラダラせずに体を使うことだ。これが養生の秘訣である。

 

健康を過信するな

養生の道を極めたければ過信は禁物である。自分は体が丈夫だからとか、若いからとか、もう病気がよくなったからといって不摂生をすれば不幸を招く。

刀の切れ味を過信して固いものを切ると、刃がこぼれる。これと同じく、自分は胃腸が強いと考えて暴飲暴食したり、精力の強さを鼻にかけて色事にふけったりすれば体を壊すだけだ。

 

習慣にすれば養生は辛くない

人が善をなすか悪をなすかは、どんな習慣を身につけたかで決まる。養生の道もそうだ。欲求や感情を抑えるのは大変に思えるかもしれないが、一筋に続けて習慣にすれば辛くない。逆に、だらしない生活が習慣になると、いざ病気になったときに慎み深く養生しようとしても、苦しくて耐えられないだろう。

 

我慢できないのは心が弱いからではない

「食べすぎてはいけないことは誰でも知っている。でも、我慢するのは大変だから、つい食べてしまうのだ」と言う人がいる。私はそうではないと思う。そういう人は養生のことをよく理解できていないのだ。

池に落ちれば溺死する。火に入れば焼死する。毒を飲めば中毒死する。こんなことは誰だって知っているから、自分から水に飛び込んで死ぬ人はいない。

わざわざ危険なことをするのは、危険だとわかっていないからだ。愚かなことである。養生についてよく理解していれば、欲求のままに好き放題するはずがない。

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体は中と外からむしばまれる

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