わかりやすい話の構成は“逆三角形”…仕事が成功する「説明力」
2012年09月12日 公開 2021年02月04日 更新
わかりやすく説明することは、ビジネスにおいて重要な点だ。しかし、意識していてもプレゼンテーションが上手くいないことは往々にしてある。
知的慣習探求舎の著書『わかりやすく説明する力と問題解決力が1冊でビシッと身につく本』によると、「知らせること」と「説明すること」は違うことがポイントだという。
※本稿は、知的習慣探求舎 著『わかりやすく説明する力と問題解決力が1冊でビシッと身につく本』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
わかりやすい説明は、情報を「相手が使える」形にして提供する
「もっとわかりやすく説明してよ」
ビジネス以外でも誰かにこう言われることが多かったら、あなたの会話力やコミュニケーションカを再検討する必要がある。
そもそも「説明」や「わかりやすさ」とは何だろうか。それをきちんと整理して自分の頭で理解しなければ、会話を対人関係やビジネスの中で有益なものにすることはできない。
ポイントは「知らせる」ことと、「説明する」ことは違うことだ。例えば「大学生の間でこのアプリが流行っています」と上司に言ったとすると、それはただ事実を知らせただけである。これに対して「説明する」は、文字通り「説き明かし、わからせる」ことである。天地ほどの違いがある。
「大学生の間では、このアプリが流行っていて、就職情報業界や飲食業界が注目しています」と言ったらどうだろう。今動いている現実と価値のある情報が浮かんでくるはずだ。
説明とは、たんに出来事を伝えるのではなく、相手が使える情報にすることだ。
そのためには、事実という素材をそのまま提供したのでは、相手は咀嚼することができないばかりか記憶にも残らない。食べやすく加工したり、さまざまな味つけを施す「調理」が必要なのだ。
相手においしく味わってもらったときにはじめて、素材の価値が伝わり、情報は相手の記憶に残る。わかりやすい説明とは、相手の立場に立って事実を整理、再構築することでもある。
説明を組み立てるときは逆三角形型を意識しよう
わかりやすい説明の構成は「逆三角形型」になっている。最初のボリュームが最大に大きく、話が進むにつれて小さくなっていくピラミッドを反対にしたような構成である。
ボリュームとは情報の分量のことではなく、伝えたい価値の大きさのことだ。これはテレビでニュースを伝えるときや新聞や雑誌の原稿を書くときによくいわれるポイントである。
とくに放送や新聞では時間や記事スペースが限られる。重要なことから伝えていけば、途中で時間がなくなった場合や、書くスペースが少ししかない場合でも、大事な点だけは伝えることができる。文を短くしなくてはいけないときは、最後から削っていけばいいのだ。
新商品を発表するときを例にあげてみてみよう。
(1)画期的な商品を発売します。(リード)
(2)それは今までにないAという機能を持っています。(結論)
(3)こういうことから開発されました。(理由)
(4)これを使えばこんなに便利になります。(展望)
(5)使った方からこんな声もあがっています。(エピソード)
後ろのほうに置いた項目が重要ではないということではない。しかし、ビジネス・シーンで短い時間しかない場合は、最初の(1)と(2)はなんとしても伝えたいことだ。
説明する相手、持ち時間、その場の状況などを想定して、いつも何がいちばん重要で、何を伝えなくてはいけないのか、何が削れるかを意識することが、説明力をアップすることにつながる。
パワポの図に長い説明は不要。簡潔な言葉と矢印を活用せよ
視覚で直接的に訴える図解は、説明力を大きく高める。プレゼンテーションでパワーポイントがよく使われるが、その際に図解を生かし切れていない人が多い。むしろ、自分の説明力を殺してしまう人が多いのだ。
それには原因がある。パワーポイントを使ったプレゼンテーションは、図表や説明文などを見せながらプレゼンテーターが話していく。確かに、視覚的な図解は理解を助けるものだが、気をつけないと図を説明することが目的のようになってしまう場合がある。
最もよくないのは、言葉が多い見せ方だ。ついつい自分の言いたいことを織り込みすぎてしまうのである。
パワーポイントにおける文章の鉄則は、最低限のキーワードで書き、「読ませない」ことだ。これは「つかみ」となるタイトルや説明文と同じこと。長い文章を見せると、相手はそれを読んで理解しようとする。話し手の言葉が耳に入りにくくなってしまうのである。
1枚のスライドにはインパクトのある短いタイトルと最大3つの短い説明で十分だ。
図解をよりわかりやすいものにするためには、「矢印」を効果的に使うことも重要。矢印を使うと図表やキーワードに「原因と結果」「時間の経過」「それぞれの関係」などの意味がでてくる。
これらの意味を同じ形の矢印で表現するとわかりにくくなる。「→」だけでなく「⇒」を使う、色を変えるなど、同じ矢印でも意味の区別をはっきりさせて使うと、図解の意図がより明確になっていくだろう。