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自分の心と戦って、自分らしい素直さを育みましょう

2017年02月23日 公開

渡辺和子

PHP友の会会員情報誌『すなお』2013年新春号より

渡辺和子

PHP友の会は、「素直な心になりましょう」をモットーに活動を展開しています。<詳しくはこちら>それでは、その「素直な心」とはどのようなものでしょう。そして、私たちはそれをどのように育んでいけばいいのでしょうか。
PHP思いやり運動の理事を歴任いただいた渡辺和子さんに、「素直な心」についてお話いただきました。

 

素直であることが大事

 人は一人ひとり違っています。誰もが私と同じ考え方をすることはないし、私も相手の方のお考えを、何もかもそのとおりだと受け止める必要はないと思っています。

 素直と言いますと一般には、相手に逆らわず言うとおりにするとか、何を言われても怒ったりしないことだというように言われますが、それは決して素直なことではないと思います。相手のおっしゃったことや行ないに対して「私はこう思う」ということを、感情的にならないで、しかもはっきりと言えるということが大事ではないでしょうか。

 相手のおっしゃることをうかがって、それがもっともだと思ったら、「わかりました」と言う。あるいは「あなたのおっしゃることの、こういうことは同意できますけれども、ここから先はちょっと違うと思います」と、自分の考えを率直に伝えるというのが素直な反応です。

 そのときに、できるだけ先入観とか、偏見を持たないことが大事ですね。

 たとえば、今の若い人はしょうがないとか、お年を召した方はこう考えてしまいがちだとか、そういった考えをあらかじめ持たないということです。ほんとうにしょうがないということもあるかもしれません。でもそれは、人は一人ひとり違ってあたりまえということを前提として、感情的にならないで、自然に反応して客観的に話しあうことが大事なのです。

 このように、私はまず、「素直になる」というよりも、「素直である」ことが大事だと思っています。何か型にはまったような素直さを求めるのではなくて、自分自身に対する誠実さ、その人なりの素直さというものを大事にすべきだと思っているのです。

 

あなたはあなたのままでいい

 人間は、生まれつきは素直でも素直でないのでもなく、真っ白なのかもしれません。遺伝と環境と、そして自分自身がどう生きようかと考えて生き方を選んでいく中で、素直さが育っていくのではないでしょうか。

 保育園で今、泣かない子、笑わない子が増えています。いくら泣いても親が来てくれないと、しまいに子どもは泣かなくなってしまうのです。そして笑顔も失っていく。親に対して、大人に対しての不信感が満ちてきて、結局何もかもひがんで受けとめたり、ひどい場合は被害妄想に陥ったりします。

 また、世の中には非常に強い劣等感を持っている人もいます。何に対しても、「自分にはできるはずがない」「どうせ私は……」というような気持ちになってしまって、なかなか素直になれないのです。

 そのような姿を見るにつけ、私が大切に思うのは、その人が愛されていたかどうかということです。お父様、お母様に「あなたはあなたのままでいいのよ」と愛されたかどうか。そういう経験のある人は叱られても、「いじめられているんじゃない。私のことを思って、言ってくれているんだなあ」と感じることができるのです。

 私自身、素直な人間ではありませんでした。ただ、素直になれるように親も育ててくれましたし、私の周囲の方々、学校の先生たちやシスターたち、神父様たちが、「あなたはあなたのままでいいのよ」と言ってくださって、ずいぶん素直になったように思います。

 私の周囲の方々がそうしてくださったのと同様に、私は学生たち一人ひとりを宝に思っています。そしてその気持ちが伝わり、愛されているとわかると、学生は見違えるほど素直になっていきます。

 たとえば、「あなたの今日のその格好、ちょっとおかしいと思うわ」と言いますと、素直に「シスター、どこがおかしいですか」と聞いてくれます。「こういうところが、ちょっと……。もちろんこれは私の考えだから、あなたは自分の好きなようにしてもかまわないのよ。だけど、社会に出れば、それでは通らないと思うから、就職活動をするにしても、婚活をするにしても、やっぱりちょっと考えたほうがいいんじゃないかしら?」と話しますと、学生は、意地悪からではなく自分を愛してくれているから言ってくれている、自分のためを思って言ってくれるのだとわかり、素直に聞いてくれますね。

 私たちは、「素直な人はこうあるべきだ」と型にはまった言葉を聞かされるよりも、いつもそこに愛情があり信頼感があって、「あなたはあなたのままでいいのよ」ということが伝わることによって、素直になっていくのだと思います。

iyashi

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