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筋トレのメリット 食べても太りにくい身体になる?

石井直方(東京大学教授),荒川裕志(国立スポーツ科学センター勤務)

2011年03月05日 公開 2022年09月07日 更新

筋トレのメリット 食べても太りにくい身体になる?

筋トレをすることで非常に多くのメリットを享受することができるだけでなく、非常に効率の良いトレーニングでもあることはご存じでしょうか。

ボディビルとしても輝かしい実績を残した東京大学教授の石井直方氏とスポーツ科学の研究者でありながら、元プロ格闘家としての顔も持つ荒川裕志氏が類書にはない実践的な情報を紹介します。

マシンの基本と応用の使い方、筋肉の徹底的な追い込み方など、初心者から中・上級者まで、圧倒的な情報量であなたの"鍛えたい!"の応えます。

※本稿は石井直方監修、荒川裕志著『効く筋トレ効かない筋トレ』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

筋肉を鍛えることで得られる効果とは

筋トレを行えば、主要な筋トレ効果である「筋肥大」と「筋力アップ」が基礎となり、一般的にイメージされているような、さまざまなメリットへとつながっていきます。

スポーツにおけるパワーやスピードの向上、シェイプアップ、健康増進といったメリットを享受するうえで、筋トレは非常に効率的なトレー二ングであり、他の運動と比べても、短時間で大きな効果が得られる方法といえます。

 

筋トレのメリット(1)スポーツにおけるパワー、スピードが向上する

筋肥大によって筋力が向上すれば、スポーツ時の筋出力も向上し、競技力のアップにつながります。

身体を動かすエンジンとしての筋肉の能力は、原則としてその「大きさ」によって決まるため、細い筋肉のまま筋出力を大きく向上させることは、生理学的に難しいといえるでしょう。

例外的に、筋肉の大きさはそのままに、筋出力が向上するケースもありますが、劇的な向上は望めません。筋力や競技パフォーマンスを飛躍的に高めるには、筋肉を大きくすることが必須となるのです。

また、筋肥大によって筋力が向上すれば、スポーツにおけるスピードも向上します。

一般的に、筋肉がつくとスピードは遅くなるとのイメージがありますが、それは事実ではありません。

筋力が向上することで、それまで重く感じていた負荷も軽く感じられるようになり、一定の負荷に対して、以前より素早く動くことが可能となります。強い筋力こそがスピードアップのベースとなるのです。 

また、一定の筋力アップに必要となる筋量(筋肉量)の増加は、体重との比率で考えると、実はそれほど大きな増量にはなりません。脂肪をつけずに全身の筋肉をバランスよく増やしていけば、基本的にスピードが遅くなることはないのです。

このことは、陸上競技の短距離で活躍しているトップスプリンターたちのマッチョな肉体が、証明しているといえるでしょう。

 

筋トレのメリット(2)食べても太りにくい身体になる

筋トレによって筋肉を鍛えることで、脂肪が落ちやすく、太りにくい身体になります。つまり、筋トレは筋肉を太くする効果があるだけでなく、ダイエットの有効な手段でもあるのです。

人間は、日常生活で特別な運動をしなくても、自然にエネルギーを消費しています。この消費エネルギーを「基礎代謝」と呼び、その量は成人男性で1500kcl強、成人女性で1200kcl弱におよびます。

日常の運動量が平均的な人の場合、基礎代謝量は全エネルギー消費量の約60%に相当するため、かなりのエネルギーが知らず知らずのうちに消費されているのです。

この基礎代謝は、筋トレによって増加させることが可能です。

全身の筋トレを3カ月間実施した研究によると、基礎代謝量は概ね100kcl程度増加するという結果が得られています(Brettら1988など)。

100kclというと、ウオーキング約40分の運動量に相当します。筋トレでエネルギーを消費するだけでなく、基礎代謝でこれだけのエネルギーが毎日余分に消費されるようになるため、体脂肪減少に対する筋トレのメリットは、かなり高いといえるでしょう。

この実験における約100kclの増加分には、筋肉量の増加(約2kg)だけでなく、体脂肪率が低下したことで、体重当たりの基礎代謝率が増加したことも影響しています。

つまり、筋トレによる「筋肉量増加」と「代謝率増加」という二つの効果が重なることで、基礎代謝量の増加につながったと考えられます。

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