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食べる時間を変えればパートナーとの関係が変わる!

笠井奈津子(栄養士/フードアナリスト)

2014年07月25日 公開 2023年01月12日 更新

 

疲れていると夫婦の時間もつくりにくい

 「食べる時間、食べるものを変えることで夫婦関係が変わりました」

 栄養士として妊活やダイエットのご相談を受け、食生活を改善していくなかで聞かせていただくことが多い声です。

 たとえば、30代で妊活中……というご夫婦のお話を聞くと、「そもそも夜の生活があまりなく、排卵日前後になんとか早く帰ってきてくれるくらい」というようなことが少なくありません。30代といえば、まだ体力もあるし、仕事でもできることが増えて楽しいころ。たとえ楽しくなくても、主力として仕事量も多く課せられるでしょうし、定時に上がるのは難しいはずです。

 そうなると、どのような食生活を送ることになるでしょうか。残業しながらお菓子をつまんだり、甘い飲み物やカップラーメンでとりあえずの空腹感を満たせるかもしれません。その後、遅い時間から飲みに行く人もいれば、帰ってから食べる人もいれば、体型を気にして何も食べない人もいます。

 これらの選択のいずれもが、質の高い睡眠を妨げます。そうなると、本来スッキリと元気に目覚められるはずの朝に、起きたときから疲労感を感じやすくなります。そのような状態なので、食欲も湧かず、何も食べずに会社に向かい、デスクで菓子パン一個……なんてことも。

 毎日のことになると、それが  いつものこと になって、とくに疲れているなんて意識はないかもしれません。でも、ベストなコンディションかどうかと聞かれたら、きっと違うはずです。以前と比べると「疲れやすくなった」「疲労が残りやすくなった」とすでに感じられているかもしれません。

 そんなふうに疲れているときには、夫婦の時間をつくることも、人に優しくすることも、できにくくなるのが自然なことです。職場でイライラしやすくなったり、帰ってパートナーの話を聞くのが億劫に感じたりするようになったのも、「変わった」のではなく「ゆとりがなくなった」せい。

 その時間とゆとりをつくるためには、心を変えるよりも「食べる時間」と「食べ物」を変えることのほうがよっぽど簡単です。私たちが、走りながら眠ることができないのと同じように、内臓が消化吸収という名の内臓のエクササイズをしながらでは、質のよい睡眠は得られません。寝る時間が変わらなくても、睡眠の質が高まれば、疲労感はまったく変わります。

 

夕食に出していたものを朝食に出す手も     

 そのためにはまず、残業中に口にするものを菓子パンやスナック菓子のような間食ではなく、遅くても20時くらいまでにおにぎりやそばのような分食をとる、というのも一つの手です。そして、帰ってから、もしくは飲みに行ったときには、炭水化物以外のおかずを摂る。遅い時間のドカ食いが避けられるだけでも、負担は違います。

 また、から揚げよりは焼き鶏、肉よりは魚、サンドイッチよりはおにぎり、というように脂質の少ないものを選択すると、消化にかかる時間が短くなります。「食べない」という選択をしてしまうと、眠るために必要なホルモンであるメラトニンの分泌を妨げてしまうので、いかに負担なく食べるのかがポイントなのです。

 料理をつくっている側にも、配慮が必要です。最近は、「じつは遅い時間にごはんを食べると疲れてしまうけど、つくって待っていてくれている奥さんに申し訳なくていえない……」という優しい男性が少なくありません。結婚して数年経てば、体も変わります。せっかくつくるのならば、相手に喜んでほしいもの。夕食はどのようなものがよいか、一度ヒアリングしてみるのもおすすめです。場合によっては、これまで朝食につくっていたような納豆ごはんに味噌汁、というシンプルなものを夜に、夕食につくっていたようなおかずを朝食に出す、というのもありでしょう。

 朝はバタバタしてしまうし、夕食や晩酌を一緒にしないと夫婦の時間がとれない、という方もいますが、少しでも早く寝れば、早起きの大変さも軽減されるはず。晩酌は、お野菜メインのものにして、時間を決めて切り上げる。平日は朝食を一緒に摂り、週末は夕食の時間を大切にする、といったスタイルに思い切って変えてみるのも、夫婦の時間をつくる一手です。

 日々の疲労感が減って、朝、気持ちよく会社に行ける。それだけで「旦那さまが優しくなって、仕事にも集中できるようになったそうです」という声を聞かせていただくことが少なくありません。

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