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金子千尋投手が片山晋呉プロに学んだ「自続力」とは

2014年12月25日 公開

金子千尋(プロ野球選手)

《PHP新書『どんな球を投げたら打たれないか』より》

「自続力」

 僕はそれほど本をたくさん読むわけではありませんが、スポーツ関係、とりわけ野球や好きなゴルフについて書かれた記事にはよく目を通します。

 そのなかで、今も強く印象に残っているのが、プロゴルファーの片山晋呉さんが書かれた文章です。

 片山さんは凄い成績を残してきたゴルファーですが、こんなふうに自らのキャリアを振り返っていました。

 自分は決して天才ではなく、努力を積み重ねて今の地位にまでのぼりつめてきた。いろんな練習方法に取り組み、試行錯誤を繰り返しながら、一歩一歩階段をあがってきたんだ、と。

 アスリートとして成功するための強いメンタルに惹ひ かれながら、記事を最後まで読んだのですが、そのなかにとても印象的な言葉がありました。

 それが「自続力」という言葉です。

 普通は「じぞくりょく」にあてはめる漢字は「持続力」でしょうが、片山さんは「持」ではなく、「自」という漢字を使ったのです。

 自分を続ける力。

 いろんな解釈ができると思います。

 自分が一度決めたことを続けることもそうだし、自分という存在をぶれずに貫き通す意味にもとれます。そして片山さんはその大切さとともに、自分を続けることの苦しみ、大変さにも言及されていたのです。

 このころ、僕は先発として1軍のマウンドで投げ始めたばかりのころでした。やはり、先発というポジションで投げ続けることが大事だと思いましたし、そのためには、どんな“自分”を続けていけばいいのか、考えました。あらゆることに対し、続けることの重要性を考えるようになればなるほど、その難しさを実感しました。

 例えば、新しいシーズンを迎える前、今年は練習後に必ずストレッチをしようと誓いをたてたとします。ストレッチ自体は、それほど大変なことではありません。でも、それを1年間ずっと継続するのはどうか。ちょっとした気分の問題や、あるいは予期せぬ理由によって、ストレッチができない状況がいつ、どんな形で訪れるかわかりません。

 そんなときでも、自分が決めたことを貫けるのか。たかがストレッチでも、続けるのは大変なことです。大変だからこそ、続けることには深い意味があるのです。

 ストレッチを例に出しましたが、今の僕は、ふだんのどんな練習も絶対に最後まで気を抜かずにやる。そのことを続けてきたつもりです。ランニングもキャッチボールも100パーセント集中してやります。

 例えば、50m走のメニューがあるときは、スタートから全力で走り、50mの手前になっても、絶対にスピードをゆるめません。メニューを作るのはトレーニングコーチの方ですが、僕は「人にやれと言われたことができなければ、自主的になにかをやることはできない」と思っています。

 プロとして当たり前のことなのですが、どこかで手を抜いてしまう選手は決して少なくありません。その当たり前のことを続けるのも、僕の「自続力」なのです。

 自分のペースを守ることも、「自続力」の定義に入ってくると思います。

 僕はトレーニングメニューを途中で中断されないためにも、できるだけ1人で練習します。先発ピッチャーにとって、自分のペースを守るのはものすごく大切なことだからです。試合のリズムを作り、できるだけ野手が攻撃に集中できるようにしたい。基本的にピッチャーはマウンドに立てば1人ですし、練習のときから常にそういうことを意識しています。

 金子千尋にとって、究極の「自続力」とはなにか。

 その問いかけはそのまま、僕がプロのピッチャーとして一軍のマウンドで投げる矜持に重なってくるのです。

 常に変化と成長を求め、己を磨き続ける。野球への考察を、これからもぶれることなく続けていく。そしてそのことが実践できているかどうかの判断はプロである以上、現実的な評価や成績にゆだねるしかないと思っています。

(金子投手初の著書・PHP新書『どんな球を投げたら打たれないか』より/写真撮影:加藤慶)

<著者紹介>

金子千尋(かねこ・ちひろ)プロ野球選手

1983年生まれ。長野商業高校、トヨタ自助車を経て、2004年自由枠でオリックス・バファローズに入団。右投げ左打ち、投手。08年に初の2けた勝利(10勝)をマーク。10年・14年に最多勝、13年に最多奪三振、14年に最優秀防御率のタイトルを獲得。特に14年は16勝5敗、防御率1.98という圧巻の投球を披露し、シーズンで最も優れた先発完投型投手に贈られる沢村賞を受賞。「日本一の投手」の呼び声も高い。2014年までの通算成績は90勝48敗5セーブ、防御率2.69。

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