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ココナッツオイル&ミルクは、なぜ認知症予防にいいのか?

白澤卓二(順天堂大学大学院教授)

2015年02月27日 公開 2022年12月28日 更新

脳の異変にココナッツミルク&オイル

※本稿は『ボケたくなければココナッツオイル&ミルクを摂りなさい』より一部抜粋・編集したものです。
 

アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病だった!?

ボケたくなければココナッツオイル&ミルクを摂りなさい/認知症予防

脳が少しずつ変性して、認知機能が低下した状態を認知症と呼びます。認知症が進行すると、ふだん何気なく行っていたことができなくなり、介護なしでは日常生活を送ることもできなくなります。

認知症にはいくつかの種類がありますが、大半を占めているのが、脳にアミロイドβという特殊なタンパクが沈着するとともに、神経細胞が萎縮していくアルツハイマー型認知症です。

脳梗塞や脳出血などが原因で、脳の神経細胞が壊死して発症する脳血管性認知症を伴うものも含めると、認知症の約8割がアルツハイマー型認知症というデータもあります。

脳血管性認知症は動脈硬化を予防することでリスクを下げることができますが、アルツハイマー型認知症に関してはその原因はまだはっきりわかっていません。

ただ、九州の久山町で50年以上にわたって行われている大規模調査から、アルツハイマー型認知症と血糖値(血液中のブドウ糖の量)に深い関係があることがわかりました。

糖尿病の人は血糖値が正常な人に比べて2倍近くのリスクになりますし、糖尿病予備軍の人も正常な人に比べると高くなっています(下図参照)。アルツハイマー型認知症予防は血糖値をなるべく上げない、高血糖状態を避けることが大切と言えます。

また、血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化が進行していきます。つまり、脳血管性認知症のリスクも高くなるということです。認知症の予防には、血糖値のコントロールが大切なのです。

 

進行したアルツハイマー型認知症が改善

さらに、最新の研究によって、アルツハイマー型認知症が進行した患者さんの脳を調べると、エネルギー源となるブドウ糖をうまく使えなくなっていることがわかりました。

わかりやすく説明すると、脳がブドウ糖というガソリンを使えなくなったためにガス欠に陥り、認知機能が低下しているのです。つまり、進行した糖尿病と同じようなことが脳で起こっていると考えられます。そのため、アメリカではアルツハイマー型認知症は「脳の糖尿病」であると言われるようになってきています。

そこで注目され始めたのが、ブドウ糖に代わるエネルギー源となるケトン体です。耳慣れない言葉ですが、これこそがアルツハイマー型認知症の予防・改善のカギとなるものです。まずはケトン体について知っておきましょう。

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ココナッツに含まれる中鎖脂肪酸がカギ

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