ホーム » 経済 » 牛尾治朗・「競争力を育てるこれからの改革」7つの視点

牛尾治朗・「競争力を育てるこれからの改革」7つの視点

2015年04月27日 公開

牛尾治朗(ウシオ電機〔株〕代表取締役会長)

《 社会変革プラットフォーム「変える力」より》

強い意志をもった楽観論で未来を切り拓け

松下幸之助がみずからの「相談役」としていたのが、年齢が40歳近くも若い牛尾治朗氏(ウシオ電機代表取締役会長)である。松下政経塾を設立する際、「政治家の地位は自ら勝ち取るもので、育てるなどというヤワなやり方ではだめだ」と反対する牛尾氏に、松下幸之助は「自分が塾長をやるから、副塾長になってくれ」と協力を要請したという逸話がある。日本青年会議所会頭、第2次臨時行政調査会(土光臨調)専門委員、経済同友会代表幹事、経済財政諮問会議議員などを歴任し、長きに渡って、わが国の改革に携わってきた政財界の重鎮・牛尾氏に、今後の日本が進むべき方向についてお話をうかがった。
<聞き手:永久寿夫(PHP総研研究主幹)

 

1.福祉の無駄はもっと省ける

永久 2009年に民主党による政権交代があり、12年に自民党が政権を奪還。昨年の総選挙では、自民党が基盤を固める結果になりました。牛尾さんは、この数年の政治の動きをどうとらえていますか。

牛尾 民主党による政権交代は画期的なことで、想定より3年ぐらい早く実現しました。ただ、彼らは、政権を担う学習をほとんどしていなかった。社会観や哲学的な考察を欠き、やりたいことを並べ立てたら、それができると考えてしまった。ところが、そうはいかない。国民からは失望されてしまいました。

永久 そんなイメージができてしまいましたね。

牛尾 その責任は、新政権の軸になった小沢、鳩山、菅の3人、またまたそうせざるを得なかった民主党の体質にあったと思います。

永久 最後の野田総理はどうですか。

牛尾 彼は、人や国の根本的なところを考える人だから、期待をしました。社会保障と税の一体改革に関する3党合意を実現させたのは評価すべきです。日本の将来を考えると、税収を増やすと同時に社会福祉の無駄を徹底的に省かなければいけない。合意の内容は民主党の最もきらびやかな思想をあらわしています。

永久 それを受けとめた当時の自民党総裁・谷垣さんも立派でしたね。

牛尾 ただ3党合意に基づいて設置された社会保障制度改革国民会議からは無駄を省くための具体的な案が出ませんでした。僕は無駄を省くだけで相当な額の社会保障費が削減できると考えています。たとえば重複診療の禁止を徹底するだけでも、かなりの医療費が削減できるということは、自治体での取り組みなどを見ていても明らかです。

 

2.経済の繁栄にはすばらしい経営者を育てること

永久 安倍政権が消費税率アップを先延ばししたことも、3党合意の実現を鈍らせている印象をあたえますね。安倍政権は、これから何に取り組んでいくべきでしょうか。

牛尾 経済繁栄ですよ。デフレは日銀との非常にいいコミュニケーションで脱却したといえますが、これだけでは十分ではない。経済の繁栄には、やはりTPPを軸として、グローバルな展開をはかる必要がある。だから、安倍総理が五十数か国を周り、経済協力をひたすら訴えたことは評価できます。ですが、経済をよくするには、すばらしい経営者が育つことが必要です。そこがあまりうまくいっていない。

永久 その原因は、どこにあるのですか。

牛尾 成功した企業の大部分が旧態依然とした体制だということ。年功序列で定年延長となれば、よほどのことがなければ一生安泰です。抜擢も少ない。だから、若い人に全然元気がない。

永久 若い人たちには、イライラ感や不満がたまっているような感じがしますね。

牛尾 そういうところはまだいい会社ですよ。大部分は不満すらもたず、何もしない。昔はみなこぞって希望した海外勤務も、日本が余りにも住み心地がいいから、いまは誰も行きたがらない。留学生制度でも、高いときは5倍ぐらいの競争率があったのに、いまはウシオ電機でも競争倍率が著しく低下しています。給料を全部出して、授業料も出して、書籍代まで援助するのにですよ。昔はそうじゃなかった。修士号を取るのに、みな精一杯で、胃潰瘍になって留学から帰ってくるほど厳しいものでしたが、そういう社員がいまの会社の主力を占めている。

永久 厳しい競争に勝ち残ったから、世界標準で仕事ができるということですね。

牛尾 だから、東京大学でも、入学は難しく、卒業も難しくすべきなんですよ。僕はカリフォルニア大学に行っていたけど、バチュラー(学士)コースを卒業できるのは入学者の3割ぐらいでしたよ。

永久 そうですね。その代わり、逆もありますよね。勉強していい成績をあげて、コミュニティカレッジから編入してくる人間とか、まずは働いてお金を貯めてから大学に入る人間とか。いずれにしても厳しい競争や努力を求められる環境がある。

牛尾 教える側も同じでしょう。日本の大学の先生は基本的に終身雇用だけれど、アメリカは3年や5年契約。だいたい1割くらいの優秀な先生だけが終身雇用を保証されるわけです。最近、アメリカでも3割くらいに増やしているけど、日本の悪いところはマネしないほうがいい。


★続きは 社会変革プラットフォーム 変える力 でお読みください

3.シルバーデモクラシーを払拭する

4.故郷に帰って起業すべし

5.自分の考えで決められる人を育てる

6.軽武装経済重点主義を貫け

7.自分が何とかするという強い意志をもて

癒しフェア2018 東京(8月)、大阪(3月)出店者大募集!!

著者紹介

牛尾治朗(うしお・じろう)

総合研究開発機構〈NIRA〉会長、ウシオ電機会長

東京大学法学部卒。卒業後東京銀行に入行。カリフォルニア大学大学院留学を経てウシオ電機を設立。経済同友会代表幹事、内閣府経済財政諮問会議議員、日本生産性本部会長などを歴任。著書に『わが経営に刻む言葉』(到知出版社)など。

関連記事

編集部のおすすめ

地方経済を再生させる「企業とまちのたたみ方」〔1〕

冨山和彦(経営共創基盤〈IGPI〉代表取締役CEO)

中国のこれからと日本が果たすべき役割〔1〕

丹羽宇一郎(前中国全権大使)

真贋の眼を養う努力を~鍵山秀三郎

マネジメント誌「衆知」

アイリスオーヤマ・大山健太郎社長の「即断即決」仕事術

大山健太郎 (アイリスオーヤマ社長)

ローカルアベノミクスで地方は再生するのか〔1〕

若田部昌澄(早稲田大学政治経済学術院教授)


WEB特別企画<PR>

WEB連載

アクセスランキング

WEB特別企画<PR>

WEB連載

癒しフェア2018 東京(8月)、大阪(3月)出店者大募集!!
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

ホーム » 経済 » 牛尾治朗・「競争力を育てるこれからの改革」7つの視点