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いまこそ、経営理念の重要性が高まっている~強い会社に理念あり

2015年10月02日 公開

田久保善彦(グロービス経営大学院経営研究科研究科長・常務理事)

隔月刊誌『PHP松下幸之助塾』より

田久保善彦(グロービス)

競争優位性を生む最大の差異化要素を再考

最近では女性のMBA(経営学修士)取得者が増えていると話題になっているが、日本のビジネススクールの代表格、グロービス経営大学院で学ぶ生徒数も年々増加。今年は700人以上が入校し、そのすべては現役のビジネスパーソンだ。MBAというと実利に直接結びつく経営手法というイメージが強いが、グロービスでは会社の存在意義として経営理念の大切さを説く。いまの時代にこそ必要とされる「経営理念」について、グロービス経営大学院経営研究科の研究科長に話を聞いた。

〈取材・構成・写真撮影:加賀谷貢樹〉

 

志をコミュニケーション可能な言葉にする

 グロービス経営大学院が最も大事にしているのは「志」であり、私たちは「志」を「組織・人事」「戦略・マーケティング」「会計・財務」などに並ぶ1つの科目領域に設定しています。

 「そもそも自分は何をしたいのか、自分に残されている時間をどう使い、何を成し得たいのか。そして自分は最終的にどのように社会貢献をしたいのか、という志なくしてマーケティング、財務、会計などの知識を身につけても、使い方を誤る可能性がある。ゆえに、何を実現させるために学ぶのかという原点に、きちんと向き合うことが大事です」と私は学生たちに話しています。

 グロービスの学生は、入学式前のオリエンテーションや入学式をはじめ、ありとあらゆる機会にこういった話を聞かされ、在学中に、自分の志について語り、発表することをつねに求められます。

 自分はどう生きたいかという志そのものはパーソナルなものですが、自分が志を持って何かをしようと思えば、一人でできることには限界があり、周りの人たちを巻き込まなければなりません。そのとき、自分の志をコミュニケーション可能な言葉にする必要もあるでしょう。それがまさに経営理念の「卵」のようなものではないかと私は考えています。

 そもそも経営理念とは「組織の存在意義や使命を、普遍的な形で表した基本的価値観の表明」であり、平たくいえば「会社や企業は何のために存在するのか、経営をどういう目的で、どのように行うのか」を明文化したものです。

 ところが、これでは雲をつかむような話に感じられる場合も多く、社員たちは経営理念を日々の行動や判断の指針、あるいは働くことに対する動機づけとして活かすことが難しいのです。そこでグロービスでは後述するように、経営理念を具体化して「自分たちはだれのために、何のために、そして何を善として経営や仕事をしているのか」という問いに、きちんと答えられるようになることを目的とした教育を進めています。

 しかし、授業では「経営理念とは何か」や「社是と理念とは何が違うのか」といったことは議論しません。経営理念とはシンプルに表現すると、創業者が何のために、何をしたいと考え、人としてどうありたいと思ってこの会社をつくったのか。あるいは社員にどうあってほしいと思って会社をつくったのか、だけなのです。これを社是と呼ぶ会社もあれば、理念と呼ぶ会社もあり、綱領やWay、クレドと呼ぶところもあるだけです。

 三菱グループには三綱領(所期奉公、処事光明、立業貿易)と各社の企業理念がありますが、ある三菱系の企業の方に「どちらが上位概念なのですか」と聞いてみたところ、「そういうことは考えたこともありません」ということでした。また、1669年に金物商として創業した老舗商社の岡谷鋼機(本社:名古屋市)では、理念という言葉すら使われていません。毎朝就業前に社員全員で唱和する、

一、外を飾らず心を磨くべし
一、分限を知り贅を慎むべし
一、虚を憎み誠を重んずべし
一、働くを楽しみ懶を羞とすべし
一、責任を知り力を協すべし

 という「日誦五則」しかありません。

 大切なことは「理念」という名前がついているものがあるかではなく、それぞれの会社が何を大切にして商売をしていくのかという根本的な価値観が、広く深く社内に浸透しているかどうかなのです。事実、松下幸之助さんの片腕だった髙橋荒太郎さんもおっしゃっているように、結局は、経営理念を反映した行動が日々行われているかどうかに尽きると思います。

☆本サイトの記事は、雑誌掲載記事の冒頭部分を抜粋したものです。

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