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接待ゴルフのマナー~一流営業マンはわざと負ける?本気でプレーする?

川田修(プルデンシャル生命保険エグゼクティブ・ライフプランナー)

2016年10月18日 公開 2023年02月01日 更新

接待ゴルフのマナー~一流営業マンはわざと負ける?本気でプレーする?

 

むやみに「ナイスショット!」と叫ばない

お客様が打ちました。いい当たりです。そのとき、あなたはこう思うかもしれません。

「そうだ、営業マンとしては『ナイスショット!』と叫ばなくちゃ!」

ドラマなどの接待ゴルフのシーンでは、営業マンが「ナイスショット!」と大声で叫んでいる場面がよく出てきます。お客様とのゴルフでは「ナイスショット!」と言って持ち上げるのが常識、あなたはそう考えていませんか?

私はそういった見え透いたお世辞は一切言いません。むしろ無礼だと思います。

ゴルフに行くと、やたらと「ナイスショット!」「ナイスオン!」を連発している人がいますが、たとえ接待ゴルフでも、そんなヨイショは全然必要ないでしょう。

むやみやたらにお世辞を連発するのは、逆に失礼になる場合もあります。

というのも、ナイスショットの価値観というのは人それぞれ違います。見ている人が「いい当たりだ!」と思っても、打った本人にしてみたら、「あぁ、ちょっとミスった……」

と思っていて、その人にとってはナイスショットではないかもしれないのです。

不本意な当たりなのに「ナイスショット!」なんて叫ばれると、人によっては「わかってないなぁ」と思われることもあります。

私は「いい当たりだ!」と思ったときでも、すぐに「ナイスショット!」と叫ぶのではなく、そのプレーが終わったあとで、「今みたいな球って、どれぐらいで打てるようになるんですか?」

と質問をしたり、逆に今ひとつの当たりだと思ったときは、

「今のは少し当たりが薄かったですかね」

といった正直な感想を伝えるようにしています。でも、それでお客様が怒るなどということはありません。

「だけど、さっきのティーショットの当たりはホントすごかったですよね」

「だろ。あれが俺の本来の実力なんだよ、……なんてね、実はたまたまなんだよ」

と、むしろ話が盛り上がったりするのです。

また、あんまり大きな声で叫ぶと、前の組や後ろの組に迷惑をかける場合もあります。

「ナイスショット!」と叫びたい場面でも、周囲への気遣いも忘れないように心がけましょう。

むやみにヨイショすることが、お客様への気配りではありません。それよりもプレーについて何かアドバイスを受けたときは、素直に実行してみましょう。

そして実際にうまくいったら、「本当にいい球が打てました!」とすぐに相手にフィードバックするのです。そのほうがお客様も嬉しいと思います。

私は商談中の雑談などで、お客様から「あの店のラーメンが美味しいんだよ」といった話を聞いたときには、すぐに食べに行って「すごく美味しかったです!」などと感想をフィードバックするように心がけています。これも本当に些細なことですが、たったそれだけでも喜んでいただけることが少なくないのです。

人はほんの些細なことでも、自分の話をちゃんと聞いてもらえると嬉しいものです。何かを人にすすめたときに、相手が実際に行動に移してくれたらもっと嬉しく感じますよね。それはきっと、自分の思いが相手に伝わったと実感できるからなのでしょう。

相手にとって本当に嬉しいことは何か?

ゴルフでも仕事でも普段の生活でも、いつでもそのような考え方ができれば、深い人間関係が築けるのではないでしょうか。

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たとえ接待でも、わざと負ける必要なんてない

著者紹介

川田 修(かわだ・おさむ)

プルデンシャル生命保険〔株〕 エグゼクティブ・ライフプランナー

(著者写真撮影:梅沢香織)

1966年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、89年に〔株〕リクルート(現・〔株〕リクルートホールディングス)入社。97年、プルデンシャル生命保険〔株〕入社。営業職の最高峰であるエグゼクティブ・ライフプランナーとして活動するかたわら、講演・研修など、多彩な活動を行なう。著書に『かばんはハンカチの上に置きなさい』(ダイヤモンド社)、『一流の営業マンはなぜお客様から何度もゴルフに誘われるのか』(PHPビジネス新書)などがある。

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