「我慢する節電」から「快適な省エネ」へ
2011年09月13日 公開 2022年09月29日 更新
「GreenWorkplace」で実現する「節電でも成果が挙がる働き方」
「我慢する節電」から「快適な省エネ」へ
東日本大震災による影響で、東日本を中心に全国的に節電に取り組む必要が出てきた。
あなたの働くオフィスでも、おそらく何らかの対策が採られているのではないだろうか。
もちろん、電力不足に対処するために節電が必要であることはいうまでもないが、この状況が長引くことで、作業効率の低下や働く人のストレス要因となるなど、その弊害も指摘され始めている。
果たして、「省エネ」や「節電」と「快適さ」「生産性の向上」は、同時に実現できるものなのだろうか?
このテーマについて長年研究を積み重ねている(株)岡村製作所の実験・検証施設「オフィスラボ」を訪ね、お話をうかがった。
※「GreenWorkplace」とは、オカムラが提案する “人にも環境にも優しいオフィス”のこと
取材・構成 : 塚田有香
写真撮影 : 丸谷裕一
日本のオフィスはこれまで明るすぎた?
「省エネ」や「節電」は、オフィスでも家庭でもみんなが取り組むべき重要な課題になっている。なかでも、オフィス全体の電気使用量の約4割を占めるといわれる照明の使い方を大きく見直した企業も多いことだろう。
「節電でオフィスが暗くなって不便だ、という意見ももちろんあると思いますが、意外に問題ない、むしろこれくらいの明るさのほうがいい、という声も聞きますね」
そう話すのは、岡村製作所オフィス研究室の山田雄介氏。時代に即した新しいワークスタイルと、それに適したオフィス環境を研究している専門家だ。
「じつは、これまでの多くの日本のオフィスは明るすぎた、ともいえるのです。その要因の一つに、照明が働き方の変化に対応してこなかったことが挙げられます。現在、デスクワークの中心はPCによる作業ですが、PCのモニターにはバックライトがあるので、手書きの作業が中心だったころに比べれば、それほどの明るさは必要としません。しかし、多くの企業では、照明環境は従来のままでした。今回の節電は、『いまのオフィスにふさわしい明るさ』について、多くの人が考えるきっかけになったともいえます」
とはいえ、必要以上に明るさを落とした環境で仕事をすれば、作業に集中できず生産性が低下したり、知らず知らずのうちに疲れやストレスが溜まったりするという弊害も懸念される。いったいどうしたらいいのだろう。
オフィスラボでは、次世代型照明システムによって、これらの問題を解消している。
「このワークスペースでは『次・オフィス ライティングシステム』を導入しています。これは、人間の体内時計による周期リズムである『サーカディアンリズム』に合わせ、時間帯によって照度や色温度が変化するシステムです」
そういって山田氏が案内してくれた先では、デスクの上に設置された照明器具から天井へ向けて柔らかな光が発せられている。それが間接照明となり、オフィス空間を優しく照らしている。
「多くのオフィスでは、節電対策として、天井照明の一部を減らす『間引き消灯』が行なわれていますが、まばらで不均質な光環境は、働く人のストレス要因になる可能性があります。その点、この『次・オフィス ライティングシステム』は、電力消費量は従来の天井付蛍光灯照明のおよそ2分の1。間引き節電するのとは違い、部分的に発生する不自然な暗さもありませんから、節電しながら快適な光環境を自動で実現できるのです」
(株)岡村製作所
マーケティング本部 オフィス研究所 山田雄介氏
人の生理的なリズムに合わせた快適な照明と同時に
節電も実現できる『次・オフィスライティングシステム』
達成数値がみえれば「やる気」も維持できる
節電が大事とはいえ、暗ければ照明は必要だし、暑かったり寒かったりすれば空調も必要になる。しかし、電気を使用するにあたって、いま電力をどれくらい使用しているのか、という情報が働く人に入らないと、効果的な節電は難しい。そうした問題を解決するために、オフィスラボでは、『オフィスナビ エコビズ』というシステムを導入している。
「これによって、オフィスの現在の電力消費量をリアルタイムで把握できます。総量だけでなく、エアコン・照明・コンセントなど項目別の消費量も表示可能。『前年比マイナス15%』といった目標値も設定できますから、いま取り組んでいる節電がどれだけ効果を挙げているのかひと目でわかり、全員で共有できるのです。こうして消費電力を“見える化”することで、より適切な節電が可能になると同時に、成果がみえることで、節電へのモチベーションも維持しやすくなると思います」
もともとオフィスラボは、従来のオフィスに比べ消費電力を50%削減していた。そのうえで、「見える化」された昨年の実績をもとにさらなる節電計画を立て、その結果も「見える化」することで、今年7月の消費電力の総量の対前年比は、さらにマイナス23%を記録。快適性や生産性を損なわずにこれだけの節電が可能なのだ。
“見える化”し、それをメンバーで共有することで、
より効果的な節電が実現できる (オフィスナビ エコビズ)