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くらし

人はなぜ、電車に乗り込むといちばん端の席に座ろうとするのか

2017年03月30日 公開 2022年06月02日 更新

混みあう電車内で足を広げて座る人。いったいどういうつもり!?

通勤ラッシュで混み合う電車の中でも、両足を大きく広げて座り、場所を取る厄介者がいるものです。少し詰めれば隣にもうひとり座れそうなほど幅をとっていたり、お尻を前にずらしてだらしなく背もたれにもたれかかり、膝が大きく前に出て邪魔だったりします。

「立っている場所もなくて困っているのに、どういう神経をしているの?」

「どうして迷惑行為をしていることがわからないのだろう?」

立っている人たちから冷たい視線を浴びても、当の男性は気にする様子も見せません。知らん顔でそのまま座り続け、誰かに足を踏まれようものなら「何するんだ!」と言わんばかりににらみつけてくるでしょう。

実は彼らは満員電車だからこそ足を広げてしまうのです。電車がすいていてまわりにスペースがあれば、そこまで場所を取ろうとはしないでしょう。

というのも、足を広げる要因は男性の行動傾向(オープン・アクション)にありますが、「パーソナル・スペース」を確保しようとしている側面もあるからです。

見知らぬ他人に対して人間がキープしようとするパーソナル・スペースは、1.2~3.5メートルとされています。ラッシュ時の電車内では、とても維持できません。あらゆる方向から知らない人が侵入しても、イライラしながら耐え忍ぶしかありません。

だから、「できるだけ他人を近づけたくない」「自分の縄張りを守りたい」という気持ちが強く働き、つい足を大きく開いて座ってしまうのです。無意識のうちに「近くに寄らないでくれ」とアピールしているとも考えられます。

「ケンカになってもよいと、腕力に自信がある人がやっているのだろう」と思うかもしれませんが、実際にはそうでもないのです。逆に強くないからこそ虚勢を張り、人を遠ざけようとしていると見たほうがいいでしょう。ただし、「なんだ、強くないんだ」と見透かしたように注意すると、逆ギレされるので気を付けてください。

また、混雑した電車でなくとも、いつも足を大きく広げて座る男性は、縄張り意識が強いといえます。足を開くことで自分の体を少しでも大きく見せ、相手に見くびられないようにしていると見ていいでしょう。概して自信家ですが、偉そうに振る舞っているように見えて、内面に不安を抱えていたりします。

一方、空間に余裕があっても足を揃えて座る男性がいます。彼らの心の中では、パーソナル・スペースを小さくしようとする気持ちが働いていると考えられます。自分自身に自信がもてず、小さくて弱い存在であることを周囲に示し、攻撃されないようにしていると見ていいでしょう。

 

※本記事は、匠英一監修『相手のホンネは「しぐさ」でわかる』(PHP文庫)より、一部を抜粋編集したものです。

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