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偏差値エリートばかりの会社に未来はあるのか?

2017年07月14日 公開

上念司(経済評論家)

「真の不確実性」に挑まねば滅びるのみ

しかし、当初は「真の不確実性」だった分野も、世の中に広く普及してしまうと「リスク」化します。

例えば、トヨタのメインの商品であるガソリン車の市場は飽和しています。そこで、トヨタは排ガスが出ない水素自動車を開発し、新たな不確実性に立ち向かおうとしています。同じくグーグルも検索業界においては相当のシェアを占めていて、インターネット広告においては他の企業と競争しています。しかし、自動車の自動運転装置の開発など野心的なプロジェクトも次々に発表し、やはり「真の不確実性」に挑む部分もしっかり持っています。

このように、企業が存続していくためには「真の不確実性」に対する不断のチャレンジが必要となるのです。

しかし、安定志向の社員がどんどん入ってきて、管理職や経営層にまで浸透してくると、会社全体の経営方針にも安定志向が強まります。これこそが企業の衰退を招くわけです。企業が「真の不確実性」に挑戦しなければ、価格競争だけを強いられることになり、利益はどんどん減ってしまいます。

まるで受験のような方法で選抜されて会社に入ったとしても、実際の会社は学校ではありません。経営には正解はありませんし、どんな大企業であっても将来の確実な見通しは立ちません。かつての銀行業界のように、いくら大企業であっても業績が悪化すれば待遇は悪くなりますし、下手をすると経営破綻します。このとき、就職企業人気ランキングなどクソの役にも立ちません。

私のようにバブル末期に就職した人間は、デフレによって企業業績が悪化したことで酷い目に遭いました。会社が存続して社員として残れればまだいいほうで、会社から追い出されたり、会社がなくなってしまったりした人もたくさんいます。私が就職した日本長期信用銀行(長銀)も1998年に経営破綻して国有化されました。

先日、大手町の旧長銀本店前を歩いているとき、ふと思いました。昔、長銀本店の隣には三和銀行の本店があり、その先の交差点を左折すると日本興業銀行の本店と東京銀行の本店が並んでいました。

現在、それら4つの銀行が1つとして残っていません。長銀は破綻して国有化されたあと、新生銀行になり、三和銀行と東京銀行は三菱東京UFJ銀行になりました。興銀は第一勧銀と富士銀行が統合してできたみずほグループの傘下となり、みずほコーポレート銀行になりましたが、その後、みずほコーポレート銀行がみずほ銀行に吸収されていまは跡形もありません。

就職偏差値上位に位置していた銀行がすべて消えてなくなりました。これってまさに「真の不確実性」の顕在化ではないでしょうか。自分にはそんな話は無関係だと思うのは勝手です。学校選びと同じと錯覚して会社を選ぶのも自由。しかし、現実は厳しく、個人の思い込みとは裏腹にシビアな「真の不確実性」との格闘が続いているということになります。

これはまるで憲法九条信者と現実の国際政治の関係にも似ています。私は学校の先生から「日本が戦争しないと宣言することで、他の国も日本を攻撃することはない」と習いました。しかし、現実は厳しく、竹島は韓国に不法占拠され、尖閣諸島にもシナの偽装漁民や海警局船が殺到しています。そもそも、日本には米軍基地があり、朝鮮戦争やベトナム戦争のときにはその基地からアメリカ軍は出撃していきました。米軍基地を日本国内に置いて思いっきり後方支援をしておいて、「日本は平和を愛しています!」と言ったところで、敵国には単なるプロパガンダにしか見えません。日本がいくら主観的に戦争を望まないと思ったところで、近隣諸国にとってはまったく関係ない話なのです。

 

偏差値的な思想を壊す以外、日本の将来はない

会社選びを学校選びのように思い込んだところで、会社は常に市場の荒波にもまれているわけです。「私の会社は偏差値が高いんで大丈夫」なんていうのは単なる思い込みにすぎません。その人の高い偏差値も、会社の偏差値も、市場の荒波の前にはまったく無意味です。そして、何よりもそんな安定志向だけの偏差値エリートばかりを採用している会社の方針にも大きな問題があります。

ハッキリ言います。そのような偏差値的なヒエラルキー思想をぶち壊さないかぎり、長期的に見て日本の将来はありません。

※本記事は、上念司著『日本経済を滅ぼす「高学歴社員」』(PHP文庫)より、その一部を抜粋編集したものです。

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