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肩こり、腰痛、頭痛…それは「食いしばり」が原因かも?!

2017年07月17日 公開

吉野敏明(歯科医)

なぜ風邪をひくと肩がこるのか

実はこのように、人はストレスフルで困難な状態になったとき、食いしばることで脳内麻薬であるβエンドルフィンというモルヒネに似た幸せホルモンが分泌されることがわかっています。このβエンドルフィンには、ストレス緩和のほか、免疫力を高めることによって病気を治す作用もあります。

風邪を引いたときに、肩がこりますよね? これは、風邪を引いて寝ているときに、食いしばることによってβエンドルフィンが脳から分泌され、それによって免疫力を高めて風邪の原因であるアデノウィルス、エンテロウィルスなどの微生物をやっつけるためです。風邪を引くと肩こりになることが多いのはこのためです。

 

現代社会は、食いしばりが多くなる生活環境になっている

吉野敏明著『健康でいたいなら10秒間口を開けなさい』さて、現在かみ合わせと全身の健康に関する書籍が山のように出版されています。かくいう私もその一人で、そうした本を何冊も出版しています。

でも、はたしてかみ合わせをよくすることが、本当に健康によいのでしょうか? かみ合わせをよくすることは、決して間違いではありません。よいかみ合わせは、健康に不可欠です。しかし、どんなにかみ合わせがよく、仮に医学的に100%完璧なかみ合わせの人がいたとしても、ストレスがあればやはり食いしばりをし、それにより耳鳴りや肩こりが生じてきます。つまり、かぶせ物(入れ歯、クラウン、ブリッジ)をしたり、矯正など歯科治療でかみ合わせを治しても、ストレスがあれば食いしばりをしてしまい、結果としていろいろな身体症状の異常が出てしまうのです。

ストレスに加えて現代社会では、物理的にかみしめを誘発するような生活環境になってしまっていることも大きな原因です。たとえば、スマホを見ながらの「ながら歩き」です。このような状態であると、必ず歯をかみしめないと歩けません。ためしに、スマホを見ながら口を開けて歩いてみてください。

のどが苦しくて呼吸できないはずです。

また、パソコンを長時間扱う人も同じです。人間はそもそも、下を見ながら手のひらを下にして机の上に手を置くような姿勢をとるのが非常に不得手な解剖学的構造になっています。肩甲骨が内側に入り込み、食いしばりを誘発する姿勢なのです。肩甲骨は、口を開ける筋肉(肩甲舌骨筋)とつながっており、この筋肉の動きを邪魔するので、かみしめやすくなってしまうのです。

そこで、発想の転換です! このような状態を回避するには、口を開けるような生活をすればよいのです!

そもそも、かみ合わせが多少悪くとも、食いしばりさえしなければ、頭痛・肩こり・耳鳴りなどは起こりません。

また、食いしばりによって、頸椎の位置がずれ、これがさらに胸椎・腰椎に歪みが及ぶことで、腰痛になります。この腰椎の歪みが仙腸関節に及ぶことで子宮の位置異常が起こり、月経困難などを誘発します。当然、この骨盤の中には小腸大腸などの消化器も入っていますから消化器にも影響を及ぼします。その仙腸関節が歪めば、足の長さが変わりますから、膝や足先にまで影響します。食いしばりの習慣をなくしたら膝が痛くて歩けない人が歩けるようになったなど、我々のクリニックでは日常茶飯事です。

もちろん、なかには本当に運動機能をつかさどる小脳やその近くの脳幹に異常があってめまいや吐き気が出ている人もいますし、子宮や卵巣の異常で月経困難になっている人もいますから、鑑別診断は重要ですし必ずするべきです。しかし、そのような専門外来に行っても「異常がないです」と言われ、自分の担当科の臓器に問題がなければ心療内科などに紹介されて、抗不安薬や抗うつ薬で治療をされてしまっているケースを散見するのです。

 

歯根破折が激増している

頭痛やめまい、耳鳴りなどの身体症状だけでなく、この食いしばりが原因で激増している疾患に、歯根破折があります。

40年以上前までは、抜歯する患者さんのなかでは虫歯で歯を抜く方が一番多かったのですが、歯磨き習慣や小中学校での検診の徹底により、虫歯は激減しました。ところが、義務教育を終えると、大学や会社では歯科検診はほとんどされないために、口腔への関心と管理が薄れ、今度は歯周病が激増しました。その結果、歯を抜く原因の第1位はしばらく歯周病でした。歯周病は歯周病菌による細菌感染症です。ですから、対策としては物理的に歯周病菌を除去する、ブラッシングが大変有効です。

歯周病は歯を失うだけでなく、口臭の原因にもなり、人間関係も悪くします。また、肺炎の原因となり、糖尿病や高血圧症を悪化させて、早産や低体重児出産など妊娠や出産にも影響する怖い病気です。そのため、現在の日本人の口腔清掃に対する意識は、20世紀末に比べ格段に高くなっています。歯の残存率も統計を取るたびに改善していました。

ところが、数年前から全く違った状況になり始めています。歯ぎしりや食いしばりで、患者さんが自分で自分の歯を無意識に破壊し、歯の根を折ってしまう歯根破折が激増しているのです。

このような頭痛、肩こり、めまいやうつ症状などのストレスを回避するために、「開口」することで得られるメリットと方法を詳しくお伝えし、それによって心と体の健康を増進することがこの本の目的です。
 

本記事は、吉野敏明著、PHP新書『健康でいたいなら10秒間口を開けなさい』(はじめに)より、抜粋編集したものです。
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