ホーム » 経営・リーダー » 部下のモチベーションをどう引き出すか~松下幸之助に学ぶ

部下のモチベーションをどう引き出すか~松下幸之助に学ぶ

2017年07月20日 公開

小笹芳央(リンクアンドモチベーション代表)

松下幸之助

一家に2台、ナショナルラジオ

ラジオの総需要が30万台ぐらいのころの話である。ラジオの営業部長が、いろいろとデータを調べて販売目標を決め、幸之助に報告した。
「現在、全国のラジオの需要はだいたい30万台。その3割を松下が占めると9万台ですが、新製品も出ることですし、10万台はやりたいと思います」
かなり確信をもっての報告であった。しかし、幸之助は即座に言った。
「それはけしからんではないか。なんで初めから全体で三十万台と決めてしまうのだ。初めからそう決めてしまうということは、もうそれ以上は売る必要なしと考えるのと同じではないか。そういう固定的な考え方では、いつまでたっても伸びんで。これからも同じだと決めてしまうその基本の考え方に誤りがあるのや」
この言葉がヒントになって、「一家に2台、ナショナルラジオ」というキャッチ・フレーズが打ち出された。

モチベーションマネジメントの真髄私自身も、このエピソードと似たような場面に遭遇することがよくあります。

とりわけ高学歴のコンサルタントに多いように感じますが、最初に「マーケット規模はこれだけです」と市場規模を決めて、「われわれが参入してこれだけのシェアを取ります」と理路整然とプレゼンテーションするのです。

一見、隙のない完璧なプレゼンです。しかし、私の頭には、次のような疑問がわいてきます。

「なぜ規模を固定化してしまえるのか?」

「そのマーケットをこれから広げる努力をするのが、われわれではないのか?」

このプレゼンは、大前提のマーケット規模のところを固定化して捉えてしまっているところに大きな問題があるのです。

じつは、こうしたマーケットを創造するという発想に乏しい分析家タイプの人は、意外とたくさんいます。

当社は、「モチベーション」を切り口にいろいろな組織に貢献するコンサルティングやソリューションを提供していますが、創業した当時は、モチベーションなどというマーケットは、世の中にありませんでした。まったくのゼロから新しい需要をつくり出して、拡大してきたのです。

もし、最初に「世の中の企業の社員のモチベーションにまつわる出費って、どれぐらいの市場があるのだろう」とか、「そのマーケットの何%を取るべきか」という発想をしていたら、起業など絶対にできなかっただろうと思います。

マーケットに働きかけて、拡大したり、つくり上げたりしていく。ビジネスは需要に応えるだけではなくて、需要をつくり出すことでもある。このエピソードでは、その重要性を伝えています。

今の時代なら、たとえば「JINS」というメガネのブランドで有名なジンズという会社の事例が当てはまります。

メガネを、従来通りの視力矯正ツールと捉えたら、一人一本持てば十分なので、それ以上の需要は見込めません。ましてや今は、コンタクトレンズというライバルもあるため、メガネの市場は縮小していくはずです。

しかしこの会社では、メガネをファッションアイテムやパソコンから目を保護するツールと捉えました。そうすることによって、一人でメガネを何本も持つ人が増えて、市場が拡大し、会社も急成長したのです。

大切なのは、前提とされていることや思い込みなどの固定的な考えに気づき、疑い、視点を変えてそこにチャンスを見出すことなのです。

※本記事は、小笹芳央著『松下幸之助に学ぶ モチベーション・マネジメントの真髄』より、一部を抜粋編集したものです。

iyashi

関連記事

編集部のおすすめ

いま、松下幸之助からモチベーション・マネジメントを学ぶ理由

小笹芳央(リンクアンドモチベーション代表)

消費者の利益を宣伝の本義とした松下幸之助~「ナショナル」を国民の必需品に

川上恒雄(PHP研究所 松下理念研究部長)

松下幸之助はなぜ、不遇や逆境に負けなかったのか

川上恒雄(PHP研究所松下理念研究部長)


WEB特別企画<PR>

WEB連載

アクセスランキング

WEB特別企画<PR>

WEB連載

iyashi
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

ホーム » 経営・リーダー » 部下のモチベーションをどう引き出すか~松下幸之助に学ぶ