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生産性の高いチームが、効率よりも大切にしていること

2017年09月15日 公開

白河桃子(少子化ジャーナリスト、相模女子大学客員教授)

「時間」という資源が起こすイノベーション

私は今「労働時間改革」に取り組む経営者への取材に力を入れていて、チャンスがあれば、なるべく経営者本人の言葉を聞くようにしてきた。「労働時間改革」に取り組む経営者に興味を持ったのは、働き方改革先進企業の経営者が集まる報告会を見たからだ。社長自らが嬉しそうに報告している。一部上場企業の経営者が、まるで「宝物を見つけた少年のような笑顔」である。

私はそんな経営者たちの顔を見て「誰も着目してこなかった『時間』という資源に着目することは、イノベーションなのだ」と思った。AI(人工知能)よりも安上がりなイノベーションだ。

働き方改革が成功したら、これだけの課題が解決する。

企業の抱える課題
労働力不足 /イノベーション不足/生産性向上/自己研鑽の向上

社会課題
少子化/地方創生/安全な労働環境/父親の家庭参画/女性活躍

その実態は本書(『御社の働き方改革、ここが間違っています』)に挙げた、さまざまな実例でご覧いただきたい。
 

働き方改革で「不機嫌な職場」がなくなる

今は「罰則が怖いので、とにかく残業をなくそう」という企業が多く、現場にしわ寄せがきている。これがひと段落すると、「残業はなくなりました。これでOK」で働き方改革が一過性のブームで終ってしまう可能性もある、という指摘も聞かれる。

「残業撲滅」だけが働き方改革の本質ではない。私が注目しているのは、長時間労働がなくなることにより「心理的安全性」が担保され、「関係の質」が変わるという課題だ(図1)。アクセンチュアの江川昌史社長が一年半の働き方改革の副産物として「社員が優しくなった」と語っていた。改革以前は体育会系のマッチョな競争環境だっただけに、社長本人も意外そうに語っていた。

グーグル社は「心理的安全性の高いチームが生産性の高いチーム」という研究結果を報告している。

「関係の質」をあげて「結果の質」をあげるというモデルはMIT(マサチューセッツ工科大学)の教授ダニエル・キム氏が提唱した、組織の成功循環モデル。キム教授は「同僚、上司」などとの目に見えない「関係の質」に注目している。「ギスギス職場」が「ワクワク職場」に変わることで、結果(売上げ、生産性、社会的インパクトなど組織によって違う)の質が上がるというモデルだ。

この「ギスギス職場の負のサイクル」を「ワクワク職場の正のサイクル」に変えるため、今の日本ならまず「労働時間」から手をつけることが正しいのではないか? なぜなら日本のギスギス職場は「長時間労働できる人」と「できない人」の格差や「長時間労働」を「やらされている」ことへの不満などが溜まっていることが原因の場合が多いからだ。

時間に着目すると、多くの課題が見えてくるはずだ。だからこそ長時間労働是正を、働き方改革の「一丁目一番地」にもってくる。

長時間労働の「マッチョギスギス職場」を安心安全な労働環境が確保された「ワクワク職場」に変えて行く。これこそが、会社にとっても社員やその家族にとっても歓迎すべき働き方改革ではないだろうか?

「残業上限規制」は非常にメッセージ性の強い施策だと思っている。我慢競争をやめ、平日に友だちと約束もできない世の中をやめ、子育てや介護と両立できないような働き方をやめたい。「仕事だけが一番」というマッチョな滅私奉公思想は終わりにしたい。その人の大切なことは全部大切と認め合いたい。この「働き方改革」の波に乗って、「いっせーのせ」で「長時間労働をやめよう」という方向に舵を切っていけたら……。上限規制はその一歩目なのだ。

とはいえ、私が長時間労働について話をすると、若い人でも「でも私は仕事メインでやっていきたい」と言う人が必ずいる。そうした働き方についてもまったく否定はしていない。しかし、日本人の間ではあまりにも「仕事をがんばる=長時間がんばる」になっているのだと思う。

だが、経営者たちは時代の潮目を見ているし、彼らにとって、その働き方はもう「評価される人」とイコールではないのだろう。新しい時代に生き残る術は何なのか? 働く、とは何なのか? この「残業上限ショック」を機に、そうしたことを一緒に考えていただきたいと思う。

 

※本記事は、白河桃子著『御社の働き方改革、ここが間違ってます!」(PHP新書)《はじめに》より、一部を抜粋編集したものです。
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