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ホンダの福井元社長も“撤退”でV字回復に導いた? 「回避」して成功する人生の選択

太田彩子(営業育成コンサルタント)

2011年12月06日 公開 2022年10月06日 更新

ホンダの福井元社長も“撤退”でV字回復に導いた? 「回避」して成功する人生の選択

人生には「避ける」ことが正しいという局面も必ずある。このように語るのは営業育成コンサルタントの太田彩子氏だ。彼女は、競争の激しい営業の世界において、男性のような真っ向勝負を回避することで実績を残してきた。

キャリアを描くとき、あえて避けるところから、自分のスタンスを見つけるにはどうすれば良いのだろうか。(写真:榊智朗)

※本稿は、太田彩子 著『成功できる人の営業思考』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。 

 

避けるという勇気

人生では避けるべき局面というものに、必ず直面するのだと思います。避けて引き返すのは、一見敗北のように見えますが、結果的に避けたほうが正解だったということが往々にしてあります。

たとえば、いわれなき誹諺や中傷を受けることもあるでしょう。その際に真っ向から挑んで消耗するのは得策ではありません。こういう場合は、なるべく避けて関わらないほうがいい。

猪突猛進して、正面からぶつかることだけが強さではありません。避けるべきときに避けて、退くべきときに退くのも、また強さなのだと私は思います。

 

回避することが前進となるときもある

Fl界のスーパースターで、若くしてこの世を去った、「音速の貴公子」アイルトン・セナのことは多くの方がご存知かと思います。

彼が全盛だったのはマクラーレン・ホンダの頃でした。そう、日本の自動車メーカー、ホンダが世界最高峰のモータースポーツの世界で、エンジンサプライヤーとして長らくトップに君臨していた時代があったのです。

アイルトン・セナの伝説の走りを支えていたのも、桁違いにパワーのあるホンダのエンジンでした。

Flのひとつの象徴であったホンダが、今季限りでFlの事業から完全に撤退すると発表したのは2008年のことでした。発表したのは福井威夫社長、ホンダのモータースポーツを牽引してきた、ホンダで誰よりもレースが好きな人でした。

「夢を捨てるのか」「裏切り者」などとファンからも罵声を浴びながらも、矢面に立ち続けました。

福井社長が考えていたのは、まさに「聖域なき構造改革」。苦しい時期を抜本的な改革で切り抜けようと考えたのです。

その改革の成果が表れはじめた2010年3月期の連結決算は、世界の驚愕と賞賛を呼びました。営業利益、前期比92%増の3637億円と、サブプライム問題を発端とした世界同時不況に苦しむ世界の自動車メーカーに先駆けて、見事にⅤ字回復を果たしたのでした。まさに、「避けた」ことが功を奏した例です。

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