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"イキイキしている40代"と"そうじゃない人"との差を生む習慣

斎藤茂太(精神科医/随筆家)

2012年01月11日 公開 2022年12月27日 更新

"イキイキしている40代"と"そうじゃない人"との差を生む習慣

最近、物覚えが悪くなった、暗算が面倒で、すぐに計算機を使ってしまう、モノや人の名前がなかなか思い出せない……

40代にもひたひた忍び寄る「脳の衰え」。脳細胞は毎日死滅するため、何も対策を講じないでいると、機能がどんどん低下してしまいます。

人生100年時代と言われる今、この長い時間をどう過ごすのかということが問題になるでしょう。

"モタさん"こと斎藤茂太氏によれば、人生を楽しむためには「いきいき脳」を維持していくことが重要になります。「いきいき人生」を実現するためのコツを伝授します。

※本稿は、斎藤茂太著『[図解]40歳から差がつく!「なぜかボケない人」の習慣』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

脳が衰えない人にはコツがある

人生は長い。楽しめなければつまらない。

科学や医学の進歩は日々目覚ましいものがあります。さまざまな病気などが克服され、このまま研究が進展すると、人類はそのうちに「不老不死」を実現してしまうのではないかと思われるくらいです。

アメリカのスタンフォード大学のシュリパド・トウルジャバーカー教授は、現在のペースで、がん治療などの医療研究や老化防止の研究が進められれば、2030年までに先進国の一部では人の平均寿命が100歳前後になる可能性が高いという研究を発表しました(2006年3月)。

寿命が100歳ということになると、もし60歳で会社を定年退職したとして、定年後が40年間もあることになります。長寿はなにしろめでたいことではありますが、この長い時間をどう過ごすのかということが今後問題になるでしょう。

ただ単に長生きをしても、それだけではしかたがありません。与えられた時間を活用して友人付き合いや旅行をしたり、趣味に打ち込んだりといったように人生を楽しめなければつまらないでしょう。

そんなわけで医学と科学の進歩のお陰で長くなった人生は、「いきいき脳」でフルに活動する「いきいき人生」にしよう、というのが私の提案です。また、これはだれにとっても「夢」でもあるでしょう。

アンドレ・ジイドは、「美しく死ぬことはさほど難しいことではない。だが、美しく老いることは至難の業だ」ということばを残しています。

人生、なにがむずかしいかといって、この「美しく老いる」ことほどむずかしいことはないのかもしれません。

毎日のちょっとした工夫や発想の転換で

私自身は、「美しく老い」たかどうかはわかりませんが、「楽しく老いる」ことには人一倍努力してきたと自負しています。たった一度の人生、なにごとも楽しくなければ意味がありません。

私の「いきいき人生」の秘訣はといえば、第一にあげられるのは「好奇心を持つこと」でしょう。精神科医になった理由も、人のこころというのは本当のところどうなっているのだろう、どういう仕組みでいろいろな精神作用を及ぼすのだろう、という好奇心でありました。

日本旅行作家協会の会長として、また日本ペンクラブ理事として、もちろん医師として、個人としていろいろな集まりに首を突っ込んだり、世界一周の船旅を何度も試みてきたのも、やはり好奇心のなせるわざです。

「こうしたらどうなるだろう」「この人はどんな性格だろう」「このドングリはどんなふうに生長するのだろう」というちょっとした好奇心が、周囲にあるものすべてを私にとって「いきいき」したものに変えてくれます。

これがなんでも楽しめることにつながるとともに、「いきいき脳」を維持する秘訣でもあるのでしょう。「いきいき脳」を保ってさえいれば、まわりのものがみんな楽しく見える「いきいき人生」が実現できる、私はそんな感じがしています。

毎日の生活の中でちょっとした発想の転換や、日々の習慣にちょっとした工夫を凝らし、「いきいき人生」を満喫しましょう。

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 好奇心さえあれば老けることはない

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