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教養として知らなきゃいけない「フェルメール」 と5人の画家

木村泰司(きむらたいじ:西洋美術史家)

2019年09月07日 公開 2019年09月07日 更新

 

バロック時代を代表する6人の巨匠

17世紀前後にきら星のごとく現われ、八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍をした画家はたくさんいますが、残念ながら、彼らすべてを紹介することはできません。そこでバロック美術とは何かをわかっていただくために、「必要十分」の視点から、6人の巨匠=オールド・マスターズを選びました。

まず、バロック絵画の筆頭ともいうべきカラヴァッジョ。彼は西洋美術史上、最もスキャンダラスな画家でもありました。スキャンダラスな絵を描いた画家は、実生活でも過激でした。彼の描く光と影の劇的なコントラストは、そのまま彼の人生を投影した鏡でもありました。

一方、ヨーロッパの宮廷を外交官としても駆け巡ったルーベンスの人生は、彼が描いた豊潤な女性像のように輝いています。名だたる画家たちの中で、彼ほど華やかで幸福な人生を歩んだ人物も珍しいのです。

そのルーベンスがマドリードを訪れた際、多大な影響を与えることになったのが、スペイン宮廷に仕えていたベラスケスです。フェリペ4世の傍
らで、スペイン・ハプスブルク家の栄光と落日を見つめた生涯でした。

17世紀のフランス人にとって、芸術の都とはパリではなくローマでした。ノルマンディー地方出身のニコラ・プッサンは生涯のほとんどをローマで暮らしたにもかかわらず、フランスの王立絵画彫刻アカデミーの規範となりました。プッサンを知らずして、フランスの美は語れないのです。

そして、市民国家オランダの画家レンブラントはスーパースターの栄光と、凋落の悲哀を味わい、フェルメールは、生活に追われて現代の評価からは想像できないような状況で生涯を終えました。資本主義の芽生えはじめた市民社会や社会情勢に翻弄された人生といえましょう。

こうして一人一人の画家の人生を思い起こすと、なぜ彼がその作品を描くことになったのか、運命の必然を感じます。

画家たちの人生を追体験していただくことで、彼らの作品が、いっそう輝いて感じられるとしたら……西洋美術史の研究者としてとても光栄です。

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