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何でも論破したがる「残念な人」の共通点

渡辺龍太(放送作家、即興力養成講師)

2020年02月03日 公開 2023年08月17日 更新

 

雑談は「冗談交じり」くらいでOK

ここでAさんの方は、自分のキャラクターを相手にわかってもらうために、やや誇張した自虐で笑わせるような表現をしています。これは大変有効なテクニックで、大人の雑談をしていて、社会人として一枚上手です。

また同時に、Aさんは、普段話さないBさんの前で、自分から冗談交じりに雑談するというチャレンジ精神を持っているともいえます。これもまた重要なポイントです。考えてみてください。「笑える話」と「真面目な議論」、どちらがより多くの人に受け入れられるでしょうか。当然、前者です。

Aさんのようなタイプの人は、一見強面だったり、とっつきにくく見えたりする人とでも、そんなハードルを飛び越えて、会話を盛り上げる可能性を持っています。少なくとも、その場の議論や説教よりも、雑談が続くことは間違いないでしょう。

とはいえ、今回のように、こちらが冗談を言っても議論をふっかけてくるBさんのような人に出会った場合は、「ラッキー!」と思ってください。その理由は2つあります。1つは、こういうめんどくさい人に会ったという話は、それ自体が次の雑談の格好のネタになるからです。

実際、笑福亭鶴瓶さんや千原ジュニアさんなどの落語家やお笑い芸人は、「ちょっと変な人」の話で笑いを取ることが非常に多いです。おそらく、鶴瓶さんがBさんに遭遇したら、「この前、ホンマおかしい人に会ったんですわ」と、すぐにネタにするはずです。

もう1つの理由は、Bさんのような人は、懐に飛び込むと、案外強力な味方になってくれる可能性があるからです。

ここでの会話だけ見れば「ただの嫌な先輩」ですが、そんなBさんのキャラクターを把握した上で、次に会ったとき、「早速、貯金はじめました!」と言ってみたりすると、「おお、お前もわかってくれたか!」と、仲間だとみなしてくれる可能性もあります。

どことなく接しにくいなと思っている相手でも、「そういうキャラクターなんだ」と一旦飲み込み、その上で雑談をすることで、あなたの人生を押しあげてくれる人に変わることもあります。

雑談が苦手な人は、雑談を真面目にとらえすぎて、相手の言動に傷ついたりすることもあると思います。でも、一歩引いて俯瞰して見ると、気持ちも楽になりますし、苦しい場面もプラスに変えることができます。

そもそも、自分と完璧に気の合う人を見つけられることの方が少ないはず。気の合わない人や多少、嫌な感じがする人と会ってもストレスがたまらないように対処することも、雑談で得するコツの1つです。

著者紹介

渡辺龍太(わたなべ・りょうた)

放送作家、即興力養成講師(ハリウッド流インプロ協会会長)

高校生の頃にお笑い芸人を志すも、日本ではスベり続けた末に、一念発起してアメリカへ留学。その際、現地で「インプロ(即興力)」と呼ばれる科学的に研究されたアドリブトーク術と出会い、コミュニケーション能力が劇的に改善。以降、本格的にインプロや心理学を学び、体系的にまとめられた「人間が笑う話のロジックのパターン」の研究に没頭する。帰国後は、インプロで身につけたコミュケーション能力を活かして、実績ゼロからNHKの番組ディレクターに就任し、放送作家となる。現在は、放送作家として活躍するかたわら、浅井企画メディアスクールでインプロワークショップなどの講師を経験したことをきっかけに、ビジネスマンや学生を対象に、様々な自治体や企業で精力的に講演やワークショップなどを行っている。2018年には、さらにインプロを広めるために、ハリウッド流インプロ協会を設立し、インプロ講師の養成にも注力している。
著書に、『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術』(ダイヤモンド社)、『自分の居場所はどこにある? SNSでもリアルでも「最高のつながり」の作り方』(CCCメディアハウス)、『ウケる人、スベる人の話し方』(PHP研究所)がある。

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