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娘の悲劇的な“汚部屋”を片付けたら、人生が変わったパパの話

大村信夫(片付けパパ)

2020年08月04日 公開 2020年08月07日 更新

娘の悲劇的な“汚部屋”を片付けたら、人生が変わったパパの話

日本では定期的に「片づけ本」がブームとなるが、それは「片づけられない人」がいつまでも存在し続けるからである。

現在はメーカー勤務の傍ら"片付けパパ"として多くの悩める人に片付けをアドバイスしている大村信夫氏もかつては片付けが苦手な一人だったが、その人生を変えたのが娘の「汚部屋」だったという。

本稿では、大村信夫氏の新著『片付けパパの最強メソッド』より、同氏が片づけに目覚めたきっかけを語った一節を紹介する。

※本稿は大村信夫著『片付けパパの最強メソッド ドラッカーから読み解く片付けの本質』(インプレス刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

なぜ日本では片付け本が大ヒットするのか?

これは私の持論ですが、片付け本が大ヒットするのは日本くらいだと思っています。もちろん最近はアメリカでもエンタメとして片付けが流行っていますが、実際問題そんなに片付けには困っていないでしょう。そもそも場所に余裕があると比較的大丈夫なんです。

それでは、なぜ我々日本人はこんなにも片付けに苦労してしまうのでしょうか?それには日本特有な3つの社会的な背景があります。

1. 都市部を中心とした狭い居住空間
2. 美徳とも言われるもったいない文化
3. 戦後に欧米から入ってきた大量生産×大量消費文化

これら3つの要因が相まって、「モノは増えるが捨てられず保管場所も足りない」のが現状です。特にファストファッションや100円ショップが流行りだしてから、その傾向が加速しているように思います。

このように日本では片付けの必要性が高いにも関わらず、きちんと片付けのやり方について学ぶ機会はほとんどありません。要するに、「片付けられない人」というのはそもそも片付けのやり方を学んでいないから仕方がないのです。

だからこそ、日本においては他の国と比べても片付け本の需要が非常に高いのです。

以前に私が体験した興味深いエピソードがあります。「どうしてもうち、片付けができないんだよ」という人のお宅を訪ねたときなんですが、なんとそのお宅のリビングの床には片付け本がぐちゃぐちゃに散乱していたのです。

とはいえ、実はそういった片付けの本は「もともと片付けが得意な人が書いている」ことが多いので、なかなかそれを実践するのは難しいのですよね。私も片付けが苦手でしたので、その気持ちは大変よくわかります。

 

片付けはセンスではなく「理論」である

片付けられない状態には、そもそも「自分にはできない」という思い込みも深く関わっています。片付けとは別のテーマではありますが、これは実験でも検証されています。

心理学者トーマス博士による記憶力のテストでは、若者と年配者に対してある共通の試験を実施して、試験前に「この記憶試験では、通常、高齢者のほうが成績は悪い」と説明したところ、若者の正解率は約50%、年配者は約30%でした。

ところが「これはただの心理学の試験である」として記憶力への言及を避けると、驚いたことに同じ試験にもかかわらず、若者・年配者ともに正解率は約50%で差はなかったのです。

要するにこの実験では、「年配者は記憶力が落ちると信じているので、その信念通り記憶力が低下する」ということが示唆されています。

私自身も片付けを学ぶ前は「自分にはセンスがないからできない」と諦めていましたし、本当に家の中もモノだらけでぐちゃぐちゃでした。ですが現在は、整理収納アドバイザー1級に合格して、片付けもできるようになりましたから、「できないという思い込み」も片付けることはできるのだと言えます。

ただし、一点だけ補足します。中には、どんなに努力しても「どうしても片付けが苦手だ」という方がいらっしゃるかもしれません。その場合はどうかご無理なさらず。

現代には私のような「片付けのプロ」がたくさんいますから、どうしても難しければプロにおまかせしてしまいましょう。これは決して逃げなどではなく、「自分で片付けなければ」という思い込みを片付けたとも言えます。

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娘の部屋は悲劇的な散らかりぶり

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