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安い服でも「高価に見せる人」が知っている“自分の骨格”の話

豊岡舞子

2020年09月30日 公開

安い服でも「高価に見せる人」が知っている“自分の骨格”の話

実際に服を着てみると、かっこいいモデルが着ていたそれとは何かが異なる。ファッションに興味がわかない理由の一つとして、明確な判断基準がないことがよくあげられるが、豊岡舞子氏によると、服選びにもきちんと理論があると語る。

人は皆同じように見えても、よく観察すると骨の形が異なる――長年、多くの方のトータルファッションをサポートしてきた経験からファッションにおいて重要な要素は「骨格」にあると確信し、骨格を理解すれば安い服を着てもよく似合い、とても安物には見えないという。

本稿では、豊岡氏の著書『失敗しない服選び理論』よりファッションにおいて骨格の重要性を語った一節を紹介する。

※本稿は豊岡舞子著『失敗しない服選び理論』(インプレス刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

服が似合わない原因は「骨格に合っていないから」

なぜか他の人と同じような服装をしていても野暮ったく見える人がいますが、その理由は「骨格」にあります。骨格で服の似合う・似合わないまで左右されているなんて、ちょっと驚きですよね。

しかし、逆をいえば自分の骨格に合った洋服をチョイスすれば、似合う格好ができるというわけです。人にはそれぞれ決まった骨格があります。着ている服が骨格の種類に合っていないと、どこかちぐはぐな印象を与えてしまうものです。

たとえ同じ服でも、骨格が異なる人が着ると印象がかなり変わることがあります。テロンとしたシャツをエレガントに着こなす人もいれば、ただだらしなく見えてしまう人がいるように。

また、例えばいつも1,980円のシャツしか着ていないのに、高級感を漂わせている人がいます。反対に20,000円以上もする一流ブランドのシャツを着ていても、サイズが合っていなければ貧相に見えてしまう場合もあります。

よく「着慣れていないから」と口にしますが、着慣れている・いないの前に、そもそもその人の骨格に合っていないのです。きちんと洗濯されたシャツを着ているのに、なぜか清潔感に欠ける人なども同じです。

その服自体が悪いわけではないのに着る人によってこうも印象が変わってしまうのは、“その人の骨格に合っていない服を着ている”からなのです。

 

骨格は民族によって大きく異なる

日本の洋服の歴史が西洋に比べて浅いのは、ご存知の通りです。西洋人のような着こなしは難しいと感じている人も多いと思いますが、その理由は日本人の骨格が西洋人よりどちらかというと華奢だからです。

日本は欧米コンプレックスがあるため、外国人への憧れなどで服を選んでしまう傾向があります。販売する側もそれを利用してイメージ戦略としている企業が多いです。

例えば、売り場に、外国人モデルが売っている服を着ている素敵な特大写真パネルがデカデカと飾ってあったりします。しかし、素敵だと思って試着室などでいざ自分が着てみると、外国人モデルのようにはいかないという経験をした人も多いのではないでしょうか。

大抵の場合は「日本人と比べて外国人は、何を着てもサマになるから」とがっかりするわけですが、西洋人と日本人とでは、そもそも骨格が違うので同じような着こなしにならないのは当然なのです。

骨格だけでなく、文化という側面から服飾を見ても、日本と西洋とでは異なります。日本の服飾の歴史は、女性の場合でいうと十二単などに見られるように、古来より体型を隠す文化でした。男性にしても、紋付袴などはほとんど体のラインがわかりません。

一方西洋では、女性ならコルセットでウエストを締め付けて、胸元を大きく開ける洋服、男性ならウエストがくびれて肩幅を強調するスーツなど、体型をアピールする服飾が主流でした。

また、民族による違いによっても筋肉の付き方や骨格が異なります。農耕民族は鍬を持って畑仕事などがしやすいように肩が内側に入っているのに対し、狩猟民族は武器を投げたり走って獲物を追ったりする狩猟に必要な肩や脚、背中の発達した筋肉を支えるため骨も太く丈夫です。

つまり、生活スタイルは骨格にも影響を及ぼし、脈々と受け継がれる歴史の中でDNAに組み込まれているのです。それぞれの文化によって、自分たちの骨格に合う服飾が発展していったのは、自然なことといえるでしょう。

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“似合っている”の本当の意味

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