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気が緩んだ時、相手の本音が出る…日馬富士の特ダネを摑んだインタビュー

鎌田靖(ジャーナリスト)

2021年01月22日 公開 2021年07月20日 更新

気が緩んだ時、相手の本音が出る…日馬富士の特ダネを摑んだインタビュー

現在「ひるおび!」のコメンテーターを務める鎌田靖氏は、テレビ報道の経験が長く、これまで数えきれないほどのインタビューをこなしてきた。そんな鎌田氏に、とっておきの「質問のコツ」を披露していただく。

※本稿は、鎌田靖著『最高の質問力』(PHP新書)の内容を一部抜粋・編集したものです。

 

相手が気を抜いたとき、こちらは気を抜いてはいけない

テレビの収録では、全部話が終わったあとに「ありがとうございました」と挨拶をかわしたあとも話を続けることがあります。

相手は、収録が終わったと思うから緊張がほぐれます。そのときにもう一回聞きます。「さっきの話ですけど、いい話でしたね」と言えば、相手がインタビュー中と違う言い方をして、本音のような話が出てくることがあります。必要なら改めてインタビューを申し込みます。

テレビ番組でない場合も、ひと通り対話が終わったあとの質問が大事です。「今日はありがとうございました」と言ったあとに、「いやぁ、あの話面白かったですよ」などと言うと、「いや、その件は実は……」と大事な話を始めることがあります。

終わったあと、相手が気を抜いたときに、こちらは気を抜いてはいけません。

2017年、横綱日馬富士が貴乃花部屋の力士をビール瓶で殴ったという暴力事件がありました。その取材をしているとき、こんなことがありました。

横綱審議委員会のある委員にインタビューしたときのことです。話が終わったあと「ありがとうございました。いや、それにしても、日馬富士やりすぎですよね」と私が言うと、この委員は

「そう。私は応援していたのに。いい人なんですよ。いい人なんだけど、酒飲みすぎるからね。でも彼、『一生酒は飲まない』って言っていましたよ」

これは特ダネでした。

「一生酒は飲まない」と言ったという話は誰も聞いたことがなかったので、「そんなことを言っていたんですか。それ、ちょっとインタビューさせてください」と言うと、「いや、インタビューはだめ」と言うので、「関係者証言で使っていいですか」と聞くと、「どうぞ。私が言ったということを言わなければ」と言うので、翌日の『あさチャン!』で大々的に放送しました。

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