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生き方

「思い込みが強すぎる人」が他人に攻撃的になる理由

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2022年02月10日 公開 2023年07月26日 更新

 

不安とは「生き方を変えよ」というサイン

できれば不安を避けたいというのが人間の常ですが、一方で不安というのは「いまの自分の生き方が、どこかおかしいですよ」というメッセージでもあります。

無意識の問題なので自分では気づいていませんが、不安は生き方の変調を知らせる赤信号なのです。ただちにそれに気づいて、治さなくてはいけません。

ところが、不安という赤信号から逃げてしまうことがあります。

不安には思い込みが伴います。

例えば、あの職業は立派な職業、こちらの職業はそうではないという、とんでもない思い込みをしている人がたくさんいます。就職の時にも、こちらは良い会社、こちらはダメな会社といった思い込みもあるでしょう。

不安というのは、言ってしまえば、自分ではない生き方をしている人が陥る心理状態です。つまり、不安な人は自分らしくない生き方をしていて、長い間、適性に合わないことを強制されて生きてきたのです。

両親の仲が良い家に生まれて、愛に包まれて生きている人もいれば、虐待されて生きる人もいる。

この職業は良くて、この職業はそうではないというような徹底した権威主義の家で育つ人もいます。すると、そこで言われたことを正しいと思い込んでしまいます。

権威への服従とそれに従う子どもの心に生じた矛盾は解決しません。子どもは親に服従することで、自分自身の強さと統一性の放棄という代価を支払うことになる。そしてその事実に気づかないまま、大人になる。

服従によって意識的には安定しますが、無意識においては権威への敵意が生じる。意識と無意識の乖離が生じることによって、心は常に不安にさらされます。

そのため、自分で自分の価値観を見直す人格の再構成が大切なのです。

不安というのは赤信号ですから、不安を感じたら「あ、赤信号だ」と注意しましょう。「なんだろう?」「何を思い違いしているのだろう?」と考えるのです。

「いま、何を思い違いしているか考えなさい」というのが不安で、それは自分の生き方を変えるためのサインでもあります。ここで自分の生き方を変えれば、人生は大きく拓けるのだと気がつける。

そういう意味では、大変素晴らしい機会でもあるのです。

【著者紹介】加藤諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。   

 

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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