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まずは手軽なネットの情報から...「初めての不動産投資」でカモにされない方法

荒木陽介(サラリーマン投資家)

2022年06月12日 公開

 

セールストークに乗ってはいけない

裏返して言うと、売り値が安いからと担保価値の低い物件を買うという選択はあり得ません。一方で注意したいのは、担保価値は低いけれども実勢価値が高い物件でしょう。典型的なのが最近のワンルームマンション投資です。

たとえば、1億円で取引される高層マンションの分譲は、じつは担保価値がすごく低いわけです。さらに売り値も割高という物件がほとんどです。担保価値が500万円でも、中古市場で3000万円で売れる物件が2000万円で買えるならいいでしょうが、2000万円でしか売れない物件を3000万円で買わされるという状況が続いています。

なぜそんな物件を買う人が少なくないのか。「所得税が戻るから得ですよ」とか「銀行ローンとセットだから安心ですよ」といったセールストークに乗っているだけの人も多いでしょうが、こんな皮算用もしているはずです。

3000万円のフルローンを組んだとしても、残債が半分の1500万円になった時点で2000万円で売れば500万円儲かるといった計算です。でも、このプラスが出るまでには、普通15年くらいかかるのです。

もし3000万円で売れる物件を3000万円のフルローンで買っていれば、同じ500万円の儲けが5年で出せます。

さらに、実勢価格とローンが同額なら銀行の評価は下がりません。一方、2000万円の実勢価格に対して3000万円のローンを組んでいたら、1000万円の純負債を抱えている状態と評価され、それ以上ローンが組めなくなるでしょう。

 

誰でも始められる不動産投資の最初の一歩

業界的には、担保価値や市場価値などの経済的残存価値を「積算価格」で表します。これは不動産を評価する際の基礎知識であり、投資の入門書には計算式なども必ず紹介されていますし、ネットでも簡単に調べられます。

不動産投資をゼロから始める場合、入門書などを読んで基礎知識を身につけたり、セミナーなどに参加したりといったところからスタートする人が多いでしょうが、まずは「感覚」を養うことが大事だと思います。

おすすめは、「ライフルホームズ」などの不動産情報サイトを見て、さまざまな物件の現在の売買価格や市場価値を把握して、気になる物件があったら「全国地価マップ」で担保価値を調べてみるという作業を習慣にすること。

繰り返すだけで、売り値が市場価値に対して高いか安いか、担保価値に対して高いか低いかという感覚が磨かれてきます。これならネット上でできることなので、誰でもいますぐ始められます。

そのうち、自分の物件選びの基準に合う物件をよく紹介している仲介会社、というのが必ず出てきます。仲介会社にはそれぞれ得意分野があるので、そういう物件の情報を選んで載せていると考えていいわけです。

ただし、サイトで公開されている物件は、じつは「残りもの」の可能性が高い。なのでこれという仲介会社を見つけたら、実際に会社に出向いて相談してみましょう。

自分の投資戦略や物件選びの基準を伝え、自分を大事に扱ってくれるかどうか見極め、大丈夫と判断したら、「いい物件ならぜひ買いたいので、サイトに載る前に情報を教えてください」とお願いしておく。積極的な姿勢をアピールすると、特別扱いをしてくれるはずです。

 

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