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生き方

引きずるイヤな感情を「脳の仕組み」を利用して忘れる方法

和田秀樹(精神科医)

2022年07月15日 公開

 

気分転換で感情を「上書き保存」する

人間の脳は、新たな体験でこれまでに書き込まれたことが上書きされると考えられています。そうしなければ、インプットした膨大な情報を処理しきれないからです。

たった1日過ごすだけでも、目にすること、耳から聞くこと、手で触れたこと、食べた物、匂いをかいだ物など、実に多種多様な情報が入ってきます。感情も1日中一定しているわけではなく、時間帯によって上下に起伏があるはずです。

そうした膨大な情報はすべて書き込まれるのですが、上書きされることで、もとあった情報が引き出しにくくなってしまうのです。

つまり、理屈からいえば、どんなにイヤなことがあっても、新しい情報が上書きされればいつの間にか思い出せなくなってしまうのです。だからこそ、人間は精神の健康を保てているということもできます。

そうはいっても、なかなかイヤな記憶を払拭できない、ズルズルと引きずってしまう人は多いと思います。楽しいことや嬉しいことと比較すると、イヤなことや悲しいことのほうが記憶に残りやすいものです。

なぜなら、悪いことのほうが思い出されやすいからです。ごきげんになるには、イヤな記憶がまた引き出されないように、上手に上書きをする必要があるのです。

 

小さなTO DOをたくさん準備しよう

イヤな記憶を上書きするためには、やるべきことを見つけてやっていくことです。具体的には、なんでもいいので、紙に優先順位をつけてTO DOを書き出し、機械的にひとつひとつこなしていく。

そうすると、TO DOに集中できるので、いつの間にかイヤな記憶が薄れていきます。そんなにすぐにTO DOが見つからないという人は、自分なりの気分転換法をいくつか用意しておくとよいでしょう。

「家中の窓を開ける」「30分だけ昼寝をする」「シャワーを浴びる」「コーヒーをドリップして淹れる」「アロマをたく」「ストレッチをする」など、手軽にできる行為が最適です。

ちょっと別の行動をしただけで、不思議と気分が向上します。

 

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