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「企画のダメ出しばかり繰り返す上司」の残念な言い訳

和田秀樹(精神科医)

2022年09月23日 公開 2022年10月11日 更新

 

なぜ、あなたの意見だけがはぐらかされるのか

とはいえ、すべての上司が難癖上司なわけではない。なかには、「可愛い子には旅をさせよ」とばかりに、部下の冒険に腹をくくってくれる上司もいるだろう。

しかし、そんな男前な上司であっても、1つだけ気になることがある。それは、あなたに企画を任せるだけの度量と覚悟があるのか、ということだ。

たとえばアイディア重視の会社では「質より量」とばかりに思いついたアイディアをどんどん提出させる。しかし、一言否定されただけでどんどん取り下げていくような人間には企画を任せられないのだ。

たとえば、あなたは上司から意見を流されたり、はぐらかされたりした経験はないだろうか。もしくは聞いてはもらえるものの、いまいち関心を示してくれなかったり、「また後で」と言われながら延々と待たされたり。これには2つの原因が考えられる。

1つは、前出の「難癖」上司のように、上司が責任回避を図っているパターン。私がより深刻だと思っているのは「あなたの実行力に信用がおかれていない」パターンだ。

前出の「難癖」上司は、少なくともあなたに「NO」という意思表示をしてくれた。でも「はぐらかし」上司は、YESともNOとも言わない。

むしろ、あなたから提示された意見や企画をなかったことにしようとしている。あなたの企画に真剣に向き合う時間も労力も惜しい、と言わんばかりの態度ではないか。

あなたが実行しようとしている企画は、おそらく費用を伴うだろう。ホームページのリニューアルでさえ、少しイジくったら数十万の費用が伴う。正社員を1カ月稼働させる程度の金額になるだろう。薄利多売のビジネスモデルに移行しつつある企業であればなおさら、出費が惜しいのだ。

あなたは、それを考慮して本気で提案しているだろうか。もっと言うなら、自腹を切ってでもその企画をやりたいと思っているだろうか。どうせ会社の金だから、とは思っていないだろうか。

「上司にはぐらかされる」と腐っている場合ではない。あなたが認識すべきは、あなたの企画で会社に不利益がもたらされる可能性があるということだ。

あなたが上司でも、先行き不透明な企画ははぐらかしたくなるはずだ。かといって、意地悪な質問をするのも面倒だし、ダメと断ったらやっぱり責任が発生する。だから、はぐらかしているのだ。

もし本気なのだったら、「また後で」と言われても、「また後で」企画をもっていけばいい。「じゃあ、いつだったらいいですか」と言ってアポイントをもらってもいいだろう。

それもしないで「さっきは君の意見を流して悪かったね」と上司が歩み寄ってくれるのを待つ方が甘いのだ。もしかしたら、あなたのその甘さを見透かされている可能性すらある。

また「ダメならダメと言ってください」と詰め寄ってみるのも手だろう。「ダメではないけど、この点が悪い」と具体的な指摘をもらえることもある。つまり、あなたに「もうひと踏ん張り」する勇気としつこさがないと、いつまで経っても意見は通らないのだ。

それでもダメなら、ダメモトで上司の上司に話を持っていくといい。「やってみなはれ」と言ったサントリーの創業者のように、いい上司との縁が生まれるかもしれない。

 

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