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先進国で増え続ける借金...それでも「日本は財政破綻しない」と言えるワケ

森永康平(株式会社マネネCEO / 経済アナリスト)

2022年11月10日 公開

 

「国の借金」を返している国

森永康平

【森永】一方で、"国の借金"を税金で返済している国もあります。例えばドイツです。ドイツは世界第4位の経済大国ですが、このグラフにもあるように、2013年ごろから2019年にかけて、地道に"国の借金"を返済しています。2020年と2021年は、新型コロナウイルスの影響による特殊な年ですね。

【中村】本当だ。世界4位ということは、日本よりほんの少し経済規模が小さいってことですよね。数字だけ見れば同じような国なのに、なぜドイツは"国の借金"を返しているのでしょうか?

【森永】ドイツでは自国通貨ではなく、「ユーロ(€)」という共通通貨が流通しているためです。ユーロとは、ヨーロッパで国境を超えて同じ通貨を使用する経済同盟のことで、その中で使われている通貨単位を指します。

【中村】それは知ってます! 僕もドイツとスペインを旅行した時、同じお金が使えて便利だなと思いました。

【森永】外国人にとっては便利ですよね。私の知人も仕事でヨーロッパ各国を回った時は、両替の必要がないので楽だったと言っていました。

しかしこのユーロ、ドイツは自国で発行することができません。ユーロの発行は「欧州中央銀行(ECB)」が管理しており、ユーロ加盟国各国が会議を行うことで、加盟国へのユーロ国債発行額が決まります。

つまりドイツの"国の借金"は、文字通りドイツ政府がECBから借りているお金であり、税金で返済する必要があるということです。

【中村】便利さの裏にはそんな制約があったんですね......。

【森永】ドイツ政府は財政を黒字にする必要があるため、ユーロ圏内の国々に自国のモノやサービスを輸出することで、財政黒字を維持してきたのです。

 

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