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ルーティンが衰えの原因? 50歳からの「前頭葉を活発化させる」生き方

和田秀樹(精神科医)

2022年12月11日 公開

 

ためらわず、あきらめず、50歳から挑戦を

「自分にはリーダーシップはない」と感じている人も、あきらめるのは早計です。「アイデア創出は苦手だ」と思い込んでいる方も同様です。

アイデアは、ゼロから生み出すものとは限りません。「これまでの勝ちパターン」を少し外してみるだけでも、十分に革新的です。自分の懐を痛めず、会社のお金で試せるのは、会社員ならではのメリットです。

もちろんそれはリスクも伴います。失敗すればペナルティを課される可能性もなきにしもあらず。とはいえ、よほどの失敗でない限り、クビにまではなりません(丸損してもクビにならない程度の予算で試す、という知恵も持っておきたいところです)。

周囲の賛同を得られず、孤独感を味わうかもしれません。それでも、使い古して陳腐化した勝ちパターンを繰り返すよりはるかに有意義です。挑戦したことにより、一発逆転の大成功を収めることもあるかもしれません。

レアケースかもしれませんが、自分がそのレアケースになる可能性は、「挑戦しない」という道さえ選ばなければ、ゼロではありません。最初から大逆転を狙う必要はありません。大切なのは、これまでのやり方に疑問を持つ姿勢です。

身の回りに、慣例的に続いている意味不明な決まり事はないでしょうか。当たり前のように受け入れているけれど、考えてみたらおかしなことはないでしょうか。それらを探すところから、前頭葉のトレーニングを始めましょう。

 

組織から離れた自分を意識しよう

もう一つ、大事な視点があります。50代という時期にこそ考えていただきたいのは、「組織人ではない自分」を意識することです。

この年齢になると、社内での立場が人によってかなり違います。出世コースを順調に歩んで重役になっている人、もうひと頑張りでなれる人もいれば、出世コースから降りている人や周囲から浮いている人もいます。

出世コースから降りた人なら、もう社内の「偉い人」に取り入る必要はありませんから、定年後の人生をいかに充実させるかを考えるのが得策です。再雇用や起業などのセカンドキャリアを考えるなら、とくに社外との関わりを意識したほうがいいでしょう。

たとえば、取引のある業者さん。関係性上、通常は業者に「優しくない」社員のほうが、会社には忠実ということになります。値切ったり納期を急がせたりするほうが、会社の得になるからです。

とはいえ今のご時世、会社に尽くしたからといって、定年を伸ばしてもらえたり重役にしてもらえたりするわけでもありません。ならば業者といい関係を築いて人脈を太くし、セカンドキャリアに備えたほうが賢いでしょう。

社外の人間関係を充実させると、会社を客観的に見る視点が備わります。社内の常識が社外の非常識、といった気づきも得られます。

日本の会社員で、中年以上の世代の人は、「会社の価値観=自分の価値観」になりがちです。長時間労働が当たり前だった時代を通ったせいか、会社最優先でプライベートを後回しにしてきた人も多くいます。

その調子で数十年過ごすと、会社の考え方や文化、会社でしか通じない言葉などに染まり、定年後に困ることにもなりかねません。

とすると、出世コースに乗っている人もそろそろ、会社員でなくなったときに備えたほうがよさそうです。

誰しもいつかは会社を離れ、個人となります。社内で浮かないように努力してきた結果、一般社会で浮く老人になってしまった...などという失敗をしないよう、準備を始めましょう。

 

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