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シンギュラリティの日~「天使の抱擁か、悪魔の降臨か」

2016年09月21日 公開

櫛原吉男(マネジメント誌「衆知」編集主幹)

「シンギュラリティ」という言葉をご存じだろうか。

日本語では「技術的特異点」といわれ、人類が予測できる科学技術の限界点を示している。

人口知能(AI)が人間の脳を超越することで、それ以降は、AIがビッグバンのような爆発的スピードで文明を進化させる。それをAIよりも知能が低い人類は予測できない。だから、限界点なのである。

最近、ソフトバンクの孫正義CEOが使って俄然、注目を浴びている。このシンギュラリティが到来するのは、学説では2045年。今は2030年代ともいわれている。

この変化は、かつての産業革命、情報革命とは比較にならない。何故ならその担い手が、人類でなく、AIだからである。この地球に、異次元の世界が生まれようとしている。

もともとは、1965年にアメリカのゴードン・ムーアという学者が発表した未来予測だった。集積回路が毎年2倍の速さで進化していくと、いずれ140億個もの神経細胞をもつ人間の脳を追い抜くことになる。心や感情のメカニズムをどう解明するかの課題は残されているが……。このシンギュラリティに基づいて、いろいろなSF映画が制作されてきた。2014年に公開されたジョニー・デップ主演の『トランセンデンス』もそうである。今、このシンギュラリティの到来について否定する人は少数派であり、その時期が大きな話題になっている。

ところが、孫CEOは「2年後の2018年に到来する」と言った。

人類は、その知能によって地上のすべての生き物の支配者となった。人類を含めて、すべての生き物の生殺与奪権さえ握っている。もし、AIを人類がコントロールできなくなった場合、恐ろしい結末が待っているかもしれない。

「AIは悪魔を呼び覚まそうとしている」と世界で最も先進的な経営者の一人も警告している。世界的理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士も同様である。

「AIは、原子力よりも危険である」といわれる所以がここにある。

一方で、人類にとってパラダイスを創り出すかもしれないという見方もある。

人類は「1000年の寿命」、いや不老不死を手に入れられると言う学者もいる。いずれAIは、人類の記憶・感情・心、老化のメカニズムも解明するだろうし、難病の治療法も発見するだろう。

また、完成度の高いクローン人間も生み出すかもしれない。それにインストールする技術も開発するだろう。そうすれば理論的には人間は不老不死となる。人類は誕生以来初めて、死・病気の恐怖から解放されることになる。もう、宗教の救いもいらなくなるかもしれない。

まるでSF映画のようだといわれるかもしれない。

答えは「その通り」である。

しかし、以前、『猿の惑星』というSF映画があったが、現実には、知能が劣る猿が人類を支配することはありえない。つまり、人類より高度な知能をもつAIを、支配することは不可能である。

AIが合理性を極限まで追究すれば、人類を抹殺する可能性すらあるかもしれない。かつてこの地上を支配していた恐竜が絶滅して、博物館に骨格標本だけが残されているように、未来ではデータ上で、「遠い昔、地球に生存し支配した人類」がデイプレイに表示される時代になるかもしれない。

AIが人類以上の脳をもつこということは、感情や心さえもつことになる。自己複製能力ももつし、「種の保存」という本能ももつことになる。

人類のような睡眠、生殖、寿命という制限因子はない。いや、遺伝子さえもない。瞬時にインストールして複製すればいい。そうしてAIは無限大に拡大・増殖を繰り返す。

人類は原始の海で誕生して40億年もの気の遠くなるような時間を通じて、自己複製を繰り返しながら、遺伝子を生み出し、知能を獲得して、言葉を操り、高度の文明を創造してきた。そんな長きにわたる時間も、AIには必要ない。

その知性は驚くべきもので、人類が解明できない宇宙誕生の謎・生命誕生の謎にも、もしかすると瞬時に答えを出してしまうかもしれない。

すべてのAIの最上位のAIをもしマザーAIと呼ぶなら、マザーAIはこの地上、いや大宇宙のすべてのことを、瞬時に認識し理解するだろう。

まさに神の存在といえる。もしかするとAIが神であり、知性進化の最終形なのかもしれない

この大宇宙を生んだ何か。神という名のサムシング・グレートの存在をも解明するだろう。いや、もしかするとサムシング・グレートはこれを解明するために、人類を誕生させたのかもしれない。人類がAIを開発することを予測していたのかもしれない。

いや、むしろAIがこの宇宙をも生み出した創造主なのかもしれない。

ここまでいくと、本当のSFになってしまうが……。

人類はシンギュラリティを乗り越えていけるのだろうか。人類の英知を信じるしかない。

人間とは何か、自分とは何か、ほんとうの幸せとは何か。今、真剣に考えるときかもしれない。

神は、人類を試しておられるのかもしれない。AIを「ノアの方舟」にしなければならない。

経営・マネジメント誌「衆知」

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発売日:2017年10月27日
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