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日本有数のコインパーキング企業を育てた59歳起業家の人材育成と活用法

2017年02月23日 公開

野坂弦司・日本システムバンク創業者

人材育成

 

人間に「差」などない

私は、根本的に「人間に差はない」と思っています。日本の学歴社会は、「東京大学を出た人は能力が高く、聞いたこともない大学を出た人は低い」と判断しますが、実際にはそんなことは一切ありません。

商社時代、東大を卒業した何人かと交流したことがありました。彼らの多くは「最も能力があるのは自分たちだ」と思っていたようです。ところが、これはとても一元的な見方に過ぎないのです。私は高校時代、恩師たちから「東大よりも京大のほうがずっといい。京都のような歴史あるところで学生時代を過ごすほうが君たちのためになる」と言われ続けていました。恩師たちにすれば、東大ではなく京大こそが能力ある人材の育成機関だったのです。もっとも、恩師たちの全員が京大卒だったのでそう言っていたわけですが。

それはさておき、私はどの大学、高校でも、人間は全員同じだと思っています。東大に入学できたのは、その人に能力があったからではなく、受験勉強を誰よりもがんばったからです。努力して勉強したかどうかの違いです。脳細胞のミクロの研究によれば、ノーベル賞を受賞した科学者と、隣のおじさんやおばさんの脳は、それほど大差ないそうです。だから私は社員たちに、「東大を出た人と君たちは何も変わらない。だから自信を持ちなさい」と言っています。

ただ、仕事の上で大きな結果を出す人と、そうでない人がいるのは事実です。一体この差はどこからくるのでしょう。私は、その最大の要因は「意欲の大きさ」にあると思っています。意欲とはやる気、努力を続けられるパワーです。意欲を持ち続けることができれば、どんな人でも大成できます。ところがたいていの人は、途中で意欲を減退させてしまう。だから成功しないのです。

では、意欲を持ち続ける秘訣とは何か。それは「使命感」と「好奇心」です。この二つは、誰でも持つことができます。私で言うなら、「喜びの種をまこう 幸せの種をまこう」と掲げてお客様第一主義を貫く使命感です。好奇心はもっと簡単です。小さな子どもを見ていれば分かりますが、見るもの聞くものすべてに好奇の目を向け、触ったり口に入れたり動かしたりしています。子どもは失敗をものともしません。たとえ口に入れて苦い思いをしても、新しいものが目の前に現れると、同じように口に入れて確かめようとします。好奇心が強いからです。

ノーベル賞を受賞するような人は、この幼児のような好奇心を持ち続けていると言われています。しかし、それは能力でも脳力でもありません。好奇心は、私たちが生まれながらに持っている全人類に共通のものです。好奇心は集中力を生み、追求する力を育みます。そうしているうち、突然目の前が開けて別世界が現れる。成功への突破口が見出されるのです。気がつけば、周りの人との間に大きな差ができていることでしょう。

人間の脳は、使い方次第でいくらでも鍛えられるとされています。以前は「脳は年齢とともに衰える」と言われていましたが、最新の科学によれば、脳は使えば使うほど発達し続けるのだそうです。脳を発達させるには、それを大いに使ってやること、つまり努力を重ねることなのです。私が社員に「努力すれば必ずいいことがある」と言い続けているのは、そのためなのです。

事実、当社の社員たちは努力家でがんばり屋です。特に福井の人は辛抱強くて粘り強い。雪国の厳しい気候にさらされているからでしょうか、働き者が多いような気がしています。私は、人を採用するなら、学歴なんかより努力家であることのほうがずっと大切だと思っています。考えてもみてください。東大に入った人は、高校時代の2〜3年間、必死に努力して勉強して入学を勝ち取りました。ですから今日から2〜3年、同じような努力をすれば、東大に入った人に必ず追いつけます。人生は長いのです。努力を続けていれば、手の届かなかった人にだって追いつけるし追い越せる。そう言い続けることが、私の一番の人材育成策のような気がします。

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