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毘沙門天の化身・上杉謙信、その実像に迫る3月号

2017年02月05日 公開
2023年03月31日 更新

『歴史街道』編集部

 

戦国の陣形

 

今回の特集のもう一つの見所となっているのが、乃至先生が研究を進めている戦国の陣形です。たとえば永禄4年(1561)の第四次川中島合戦の折、八幡原の戦いで、武田軍は鶴翼〈かくよく〉の陣を、上杉軍は車懸〈くるまがか〉りの陣を張ったという話は耳にされたことがあるでしょう。

では、鶴翼の陣とはどんなものでしょうか。よくご存じの方は、「V字型」をイメージされるはずです。大軍が、鶴が羽を広げるように敵を包囲して殲滅する陣形と説明されるからです。

三方ヶ原の戦いの折、軍勢の数が少ない徳川家康が鶴翼の陣を構えたことに武田信玄は失笑し、武田軍の勝利を確信したという描かれ方が小説やドラマなどでもおなじみです。

ところが、鶴翼が私たちの知っているV字型ではないとしたら、川中島や三方ヶ原の戦いはどうなってしまうのでしょう? 実は乃至先生によると、戦国の頃まで、日本においては合戦で体系立った陣形は用いられておらず、それを、創作を交えて整えたのが、武田信玄と山本勘介であったというのです。しかも武田の軍法を伝える江戸時代の軍学書を見ても、鶴翼はV字型ではありません。

では、信玄の鶴翼とはどんな陣形だったのか? 一方、謙信の車懸りは、軍勢が回転しながら次々に敵に襲いかかる陣形であったなどと語られることがあります。しかし、そんなことが実際にできたのでしょうか。

実は車懸りは陣形ではなく、戦術であったと乃至先生は指摘します。しかもこの戦術の要となるのが、謙信独自の基本陣形と個々の部隊の隊形でした。果たして武田の陣形を打ち破った謙信の車懸りの戦術の破壊力とはどんなものであったのか。詳しくはぜひ弊誌をお読み頂ければと存じます。

「歴史街道」3月号「上杉謙信」、明日2月6日全国発売です。ぜひご一読賜りますよう、よろしくお願い申し上げます(辰)

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