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元国際線CAの「スマートな出張術」

2015年05月01日 公開
2023年05月16日 更新

美月あきこ(元国際線キャビンアテンダント)

飛行機での移動は「スマート」に

元国際線CAとして世界中を飛び回り、現在でも年間150回以上の講演で全国を飛び回っている美月あきこ氏。そんな美月氏の「出張術」は、仕事はもちろん、旅行にも大いに役立つ知識が満載だ。女性ならではの視点も踏まえた「出張術」を教わった。
<取材・構成 塚田有香  写真撮影:長谷川博一>

 

移動は常に朝イチの飛行機で

 私は出張の際、当日のスケジュールにかかわらず、必ず朝イチの飛行機で移動するようにしています。たとえ出張先での仕事が午後からでも、朝6時台や7時台に出発します。
 その理由は、早朝は利用者が圧倒的に少ないから。日によっては横一列の座席のうち、乗客は私だけということも。隣の席に荷物を置いても平気だし、アームレストを上げて横になることもできます。
 往路では、仕事に備えて心身をリラックスさせることが大事なので、のびのび過ごせる早朝の便は本当に快適。加えて、早朝の便は料金が安いというメリットもあります。
 私は初めての土地へ出張することが多く、現地で道に迷ったり、乗り換えに手間取ったりする可能性もあるので、時間に余裕があると気持ちの面でも安心です。
 そして早めに着いたら、その土地の名物を食べるようにします。そして講演で「先ほど○○を食べたのですが、おいしいですね」などとお話しすると、喜んでもらうこともできます。
 ここで一つ裏ワザを。早く着いたら、空港でお土産を下見しておくのです。帰りは時間がギリギリになることもあり、お土産を選ぶ暇がないことも多いからです。
 

移動中はスーツを脱ぎ、パーカーでくつろぐ

 機内でもスーツのジャケットを着たままの方が多いですが、お脱ぎになることをお勧めします。肩が凝るし、窮屈な気分になってくつろげないからです。
 私がCA時代に接したエグゼクティブの方は、座席に着くとジャケットを脱ぎ、鞄からコンパクトに畳んだパーカーを取り出して羽織っていました。以前、お医者様にお聞きしたところ、リラックスには、「深呼吸できるように胸元と足元を緩めて、首元を温める」のがポイントだそう。パーカーは胸元がラクで、首回りはフードが保温してくれるので、理にかなっていますよね。女性ならストールを一枚持っていき、首元に巻くのも良いと思います。
 ビジネスパーソンに人気なのは、前方通路側の座席です。トイレに立ちやすく、到着したらすぐ降りられるからでしょう。でも、国内出張の場合、トイレに何度も行くほど移動時間が長いことは少ないはず。そもそも時間に余裕を持った便に乗れば、先を争うように降りる必要もありません。
 また、通路側は、すぐ横をCAや他の乗客が行き来して落ち着きません。窓側の席を選び、景色を見ながらゆったりと移動を楽しんではいかがでしょう。マナーの点から見ても、窓側が上座。移動中もやはり「良いお席」を選びたいものです。
 

手荷物以外は預けるのがスマート

 預けるのが面倒なのか、たくさんの荷物を機内に持ち込む方をよく見かけますが、決してスマートな乗り方とは言えません。CA時代にお会いしたエグゼクティブのお客様は、もちろん国際線ということもありますが、ほぼ例外なく、持ち込むのはごく小さな手荷物のみでした。
 出張の荷物は、宿泊するための「ステイバゲージ」と、移動中に持ち歩く「ムービングバゲージ」に分けますが、ステイバゲージまで機内に持ち込んでしまうと、棚の取り合いが起きたり、人にぶつかったりと、機内が殺伐とすることも。これでは、仕事のモチベーションも下がってしまいます。
 国内線では預けた荷物がなくなることもまずありません。ホテルのクロークに荷物を預ける感覚で、ぜひ利用してみてください。それだけで、空の旅は思った以上に快適になるはずです。
 

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