THE21 » キャリア » できる人が「方眼ノート」を使う理由

できる人が「方眼ノート」を使う理由

2015年08月12日 公開
2023年05月16日 更新

高橋政史(クリエイティブマネジメント代表取締役)

「方眼ノート」の使い方

A4の方眼ノートを用意する。方眼ノートを使うのは、まず分割する際の線が引きやすく、横ケイだけのノートと比べグラフや図も描きやすいから。A4なら情報量もたくさん入る。ノートは開いて、横向きで使用する。「人間の視界は縦より横に広いので、横に使ったほうが、ひと目で把握しやすくなります」(高橋氏)

タイトル&結論


一番上の枠には、新聞の見出しのように「商談や会議の論点」を書いておく。それにより、論点から外れたことを見極め、必要なことだけメモできるようになる。基本は、1見開き1テーマ。いくつものテーマを混在させると、あとで見返したときに混乱するからだ。また、一つの打ち合わせや会議のノートが何ページもあると全体像を把握しにくいので、見開き2ページにまとめるのが理想だ。

事実から解釈を経て、行動まで導き出したら、最後に上の欄に結論をひと言でまとめておく。すると、あとで見たときに、どういう結論になったか、すぐに思い出せる。3つのポイントを書いておくと、よりわかりやすくなる。

事実


お客様との商談や打ち合わせなどでお客様からヒアリングした内容や、会議の内容などを書く。あとから見てもわかるよう、「見える言葉」を使うのがポイント。見える言葉とは、「数字や固有名詞、動詞」など。一方、形容詞は抽象的で「見えにくい」のでなるべく使わない。もう一つのコツは、相手の発言はカギカッコでくくり、区別しやすくすること。その際、語尾までしっかり書くのがポイントだ。同じ「前年比10%」でも、「前年比10%を達成した」と「達成するだろう」と「達成するかもしれない」では、意味がまったく違ってくるからだ。あとで意味を取り違えないよう、なるべく言葉を丸めずに、そのまま書くのが鉄則だ。

解釈


事実を踏まえて、思ったことや感じたこと、疑問に思ったこと、重要だと思ったことなどを書いておく。その際、そのもとになっている事実から矢印を引く。

また、事実と解釈だけでなく、解釈と行動の間にも矢印を引くと、事実→解釈→行動の間のロジックが組み立てられ、論理的な行動につながる。

また、矢印の上に「要するに」「なぜなら」「実は」「もし」などの接続詞を入れておくと、よりロジックが明快に。解釈は、会議や商談後に記入しても良い。複雑な事実を図式化しておくと、頭が整理できる。

行動


解釈した内容を踏まえて、次に取るべき行動を書く。「A町の人口動態を調べる」「Bさんに依頼をかける」といったことだ。ポイントは、「数字や固有名詞を使って、できるだけ具体的な行動に落とし込む」こと。着実なアウトプットにつながる。

ちなみに、「解釈」と「行動」への記入は「事実」より少なくなりがち。そのため、ノートがもったいないと言う人もいるだろう。「ノートの使い方で最も重要なのは『アウトプットを出すこと』であり、『ノートにムダなくぎっしり書くこと』ではありません。ノートの消費が多少早くなっても、アウトプットが生み出せるなら安いものです」(高橋氏)

欄外


雑談だけどメモしておいたほうが良さそうなことは、欄外に書いておくことで混乱を防ぐ。

(取材・構成:杉山直隆 写真撮影:長谷川博一)

(『THE21』2015年5月号より)

著者紹介

高橋政史(たかはし・まさふみ)

クリエイティブマネジメント(株)代表取締役

1967年、群馬県生まれ。メーカー勤務時代に3tトラック1台分の営業資料を畳4畳半ほどにスリム化。その後、香港のマーケティング会社のCOO(取締役)を経て、戦略系コンサルティングファームにて経営コンサルタントとなる。のべ2万人に「ノートの指導」を実施し、導入企業は200社を超える。また、教育委員会の要請で、学校教育の現場での先生・生徒への「ノート指導」も実施。「ノートスキルの指導」を行なう私塾には、ビジネスパーソン、経営者から医師や政治家まで、幅広い層が参加している。著書に『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』(かんき出版)など。

THE21 購入

2024年4月号

THE21 2024年4月号

発売日:2024年03月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

「メモ」の達人が教える12のテクニック

坂戸健司(クリエーター/ビジネスプランナー/コンセプター)

「5割が管理職になれない時代」の出世術

海老原嗣生(雇用ジャーナリスト)

これから10年、伸びる業界・沈む業界

池上浩一(野村ホールディングスシニア・コミュニケーションズ・オフィサー),渡邉正裕(ジャーナリスト/MyNewsJapan社長兼編集長)
×