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マイナンバー・広がる格差と「監視社会」への道

2015年10月21日 公開

斎藤貴男(ジャーナリスト)

それでも残るマイナンバーの問題点とは?

マイナンバー制度に関しては、若干のセキュリティの不安はあるものの、これからのビジネスをも変える新しい仕組みとして大いに期待されている風潮がある。だが、この「番号制度」が我々にもたらすものは利益だけなのか。

 

住基ネットをベースに始まる「番号制度」

 セキュリティやプライバシー侵害の問題から不参加の自治体が続出するなどして話題となった「住民基礎台帳ネットワークシステム(以後、住基ネット)」の運用開始から14年が経つ来年、「マイナンバー制度」の運用が始まります。マイナンバー制度は、民主党政権時代の2011年に法案が閣議決定され、社会保障の諸制度を公正・公平に適用するために正確な所得把握が必要であるという主張から生まれた格好です。しかし、すべての国民に固有の番号を振り、個人を識別して管理しやすくする「国民総背番号制」については、1960年代以来、政府が一貫して導入を目指していたナショナルプロジェクトでもありました。60年当時、国民の大反発により断念されたものの、その構想は歴代政権に受け継がれてきたのです。

 住基ネットの導入が進められていた当時、私はこの制度の取材を通して、国民一人ひとりの個人情報や行動履歴を一元監視・管理する「国民総背番号制度」ではないかと不信感を覚え、住基ネットの差し止めを求めて訴訟を起こしました。 

 住基ネットは、居住地以外でも住民票の写しを交付できるようになるなどの利便性をうたっていますが、実際、住民票を取る機会など、年に何回もあるものではありません。また、身分証明書となる「住民基本台帳カード」の普及率も5%ほどです。

 そんなこともあり、あまり話を聞かなくなりましたが、実は今回のマイナンバー制度はこの住基ネットの情報を基盤に話が進められています。住基ネット運用開始時に私たちには、11ケタの「住民票コード」が割り当てられており、マイナンバーは、それをベースに番号が割り振られるのです。

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著者紹介

斎藤貴男(さいとうたかお)

ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。イギリス・バーミンガム大学大学院修了(国際学MA )。日本工業新聞記者、週刊文春記者などを経てフリーに。著書に、『プライバシー・クライシス』(文春新書)、『住基ネットの<真実>を暴く―管理・監視社会に抗して』(岩波ブックレット)、『戦争のできる国へ―安倍政権の正体』(朝日新書)など多数。

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THE21編集部・編


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