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頭の中を整理する「付箋」の使い方

2015年11月26日 公開
2023年05月16日 更新

平本あきお(〔株〕チームフロー代表)

誰でも簡単に使える超・便利ツール

 

 あなたは付箋を何に使っているだろうか? 書類やノートに貼って目印にしたり、伝言メモとして使うだけなら、もったいない。情報と思考を整理するのに、簡単でありながら大きな効果を発揮するのだ。その方法を、メンタルコーチで『フセンで考えればうまくいく』の著者・平本あきお氏にうかがった。

 

頭の中を付箋に書き出し「見える化」する

 付箋の最大のメリットは、「見える化」と「操作可能化」です。「やらなくてはいけないことがたくさんあるのに、何から手をつけていいのかわからない」「いつも余裕がなくてイライラしている」といった状態のとき、私たちの脳の中ではさまざまな思考がごっちゃになっています。「上司に頼まれた資料を作らなくてはいけない」と「マンションの回覧板を隣に届けなくてはいけない」では、問題の大きさも重要度もまったく違うのに、意識しないと、脳はすべてを同じレベルで扱ってしまう。だから、「あれもこれもやらなくてはいけない」と頭がいっぱいになってしまうのです。

 そこで、頭の中身を付箋に書き出して見える化し、貼ったりはがしたりして動かしながら整理するのが有効なのです。

 付箋を使った思考整理の基本ステップを説明しましょう。

 ステップ1は、「思いついたことを自由に書き出す」。ジャンルや重要度は考えず、気になることをどんどん付箋に書きます。「部長に頼まれた資料作成が進まない」「部下のA君に相談された件、どうしよう」「妻に頼まれた買い物をする」「次の連休は旅行をしたい」など、なんでもかまいません。「こんなことまで書き出す必要はあるのかな?」などと考えず、頭の中を全部吐き出すつもりで書き出しましょう。

平本氏は大小さまざまなサイズの付箋を持ち歩いている。「歯磨き粉を買う」なら小さい付箋でいいし、次のセミナーで話すアイデアなど、書き込む量が多ければ大きめの付箋に書く。

 付箋の良さは、「いい加減」が許されること。表計算ソフトなどのツールをこの時点で使うと、人は無意識のうちに「完璧にまとめなくては」と身構えて、書くことのハードルが高くなってしまいます。付箋なら、あとで動かしたり、追加で貼ったり、はがして捨てたりするのも自由。きちんと整理できるかどうかはひとまず置いておき、この段階では、ひたすら書くことに集中しましょう。

 

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著者紹介

平本あきお(ひらもと・あきお)

〔株〕チームフロー代表取締役

1965年、兵庫県生まれ。東京大学大学院修士課程(心理学専攻)修了。米国のアドラー心理学専門大学院で修士課程を修了。2001年に帰国後は、北京五輪の金メダリストやメジャーリーガーなどのトップアスリートや経営者、ビジネスマンなど、のべ3万人にコーチングや研修を実施。著書に『勝手にモチベーション』(KKロングセラーズ)、『フセンで考えるとうまくいく』(現代書林)など。

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