THE21 » マネー » 「男の身だしなみ」入門 第4回 ビジネスシューズ編

「男の身だしなみ」入門 第4回 ビジネスシューズ編

2015年12月15日 公開
2023年02月02日 更新

日野江都子(国際イメージコンサルタント)

「足元を見る」はビジネスの常識?

ビジネスの評価を高める装い方を学ぶ、本連載。第4弾はビジネスシューズ編。「足元を見る」という言葉どおり、靴は相手のビジネス力を測る重要なアイテム。ポイントは一体どこにあるのだろうか?

 

ビジネスシューズはローテーションで履くこと!

 ビジネスパーソンを底辺から支えているのが靴。そこには、その人の他人や物事に対する考え方の本質が顕著に表われます。だからでしょうか、人は意識的そして無意識的に、初対面で相手の足元を必ず見て、一緒にビジネスをしたらどうなるかを即座に判断します。どんなに仕事ができたとしても、靴の汚いビジネスパーソンとは一緒に仕事しないという人々を私は何人も知っています。これは世界共通の見解。とくに欧米諸国では常識中の常識です。
 
 「ドレスシューズ」と呼ばれるビジネス用の正式な靴を、常にしっかり磨かれた綺麗な状態で履き人に会うのは、相手への本気の姿勢の表現であり礼儀。それを物語るように、NYの街中ではビジネスパーソンが靴屋で靴を磨いてもらっている光景が日常的に見られます。
 
 以前、「仕事の靴は一足を履き続け、ダメになったら新しいものを購入する」というビジネスパーソンに会ったことがあります。非常に優秀な方だったのですが、出会った瞬間からなぜか違和感をぬぐい去れずにいたところ、それを裏づけるかのようなこの靴の扱い方を知り、仕事で接する相手への姿勢がうかがい取れたのでした。
 
 靴は、自分の身体を一日中支えてくれる重要なもの。そしてシャツなどとは違い、消耗品ではありません。良いものを手に入れ、丁寧に手入れをしながら長く大事に身につけていくことで味も愛着も出てくるアイテムです。それを使い捨てだと考える人、大事にできない人は、きっとご自身も大事にできていないでしょうし、当然、人を大事にできるわけがないことは明らかです。
 
 では、どうしたらよいか? 新品の靴を常に履く必要はありません。仕事の靴は数足揃え、同じ靴を2日続けて絶対に履かない。一回履いたら汚れを落とし、シューキーパーをはめて2日は休ませます。そうすることで一足にかかる負担が少なくなり、その靴を履ける期間がずっと長くなります。少し奮発した額の靴を購入して大切に履いたほうが、一足を履きつぶすより、仕事の結果に与える効果もコスト的にも、自己投資としてずっと良いのです。
 
 そして、正式なビジネス靴のように光沢のあるレザーを使っているものは、しっかり磨いて綺麗に光らせておきましょう。足元をしっかり手入れすることは、自分を見つめ直すことにもなります。綺麗に手入れされた、艶のある靴を履いていることこそ、上質な大人のビジネスパーソンの証ですね。
 

     

 

靴の管理ポイント!

 

● 2日続けて同じ靴は履かない(1回履くと、靴の中にコップ1杯分以上の水をこぼしたのと同じ状態に。しっかり乾かしてからでないと、すぐに形が崩れて壊れてしまう)
● 履いたあと2日は間を空ける
● 履いたあとは埃を払い、シューキーパーを使用して形を整えつつ休ませる。丁寧にクリームを塗り靴墨で磨いて仕上げる
 

NG集

 
ポイント1 先の尖りすぎた靴
チャラチャラしているように見えます。
 
ポイント2 おやじ靴
脱ぎ履きしやすさ、履き心地重視の靴(おやじ靴)はNG(運動しに行くわけではありません)
 
ポイント3 かかとの擦り減り、中敷きの汚れ
靴は常に綺麗に手入れをしながら確認し、メンテナンスが必要な部分はひどくなる前に修理に出す。日本では、接待でお座敷に上がることがあります。靴の外側だけでなく、中敷きの状態も確認。思いの外見られています。

 

松屋銀座スタッフのワンポイントアドバイス

 
 今回は靴の磨き方について簡単に説明したいと思います。
1  まず、靴の埃を払います。この際、使用するブラシは毛が柔らかい「馬毛のブラシ」がオススメとなります。
2  次に、クリーナーで汚れを落としていきます。
3  靴に、クリームを塗り込んでいきます。これは革靴に栄養を与えるためで、より靴を長持ちさせることができます。
4  最後に、靴のクリームをなじませていきます。これは毛が固い「豚毛」がオススメです。
シューケアのセットも販売しておりますので、ぜひ購入をお勧めします。
 
(『THE21』9月号より)
 
写真撮影:まるやゆういち

著者紹介

日野江都子(ひの・えつこ)

国際イメージコンサルタント

米国ニューヨーク在住。1994年より日米にて活躍、国際的イメージコンサルタントの第一人者として20余年のキャリアを持つ。2004年、Real Cosmopolitan Inc.(株式会社リアル コスモポリタン)設立。NY・東京の二大拠点を持ち、企業・人・ブランドの価値を高める、国際基準の戦略的イメージブランディングとマネジメント、企業トップエグゼクティブや政治家のメディア対応イメージ・コンサルティングで高い評価を得ている。
AICI(国際イメージコンサルタント協会)ニューヨーク支部ボードメンバー。
著書に『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム)、『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社)他、執筆多数。
www.thelookbest.com

THE21 購入

2024年4月号

THE21 2024年4月号

発売日:2024年03月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

「男の身だしなみ」入門 第3回 スーツ・ズボン編

日野江都子(国際イメージコンサルタント)

「男の身だしなみ」入門 第2回 スーツ・上着編

日野江都子(国際イメージコンサルタント)

「男の身だしなみ」入門 第1回 シャツ編

日野江都子(国際イメージコンサルタント)
×