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「貪欲なインプット」が、思考スピードを極限まで高める

2016年01月11日 公開
2016年01月11日 更新

松村厚久(ダイヤモンドダイニング社長)

わずか9年で「100店舗100業態」を達成した異端児の流儀とは?

 

 物語の世界を再現したユニークなコンセプトレストランを展開することで知られる外食業界の異端児、ダイヤモンドダイニング。「100店舗100業態」という挑戦を早々と成し遂げたあと、2015年7月には東証2部から東証1部への指定変更を史上最速で果たした。スピーディな事業展開の秘訣はなんなのか? 同社を率いる松村厚久氏にうかがった。

 

本や映画、街中のすべてが尽きないアイデアを生む

 チェーン店展開が主流の外食業界で、店舗ごとに違う店を作る「100店舗100業態」を目標に掲げ、わずか9年でそれを成し遂げたダイヤモンドダイニング。現在までの業態開発数は172に上る。無謀とも言える挑戦を、なぜこれほどのスピードで達成することができたのだろうか。「それは店作りが面白いからですよ」と、社長の松村厚久氏は話す。

「立地ごとに、ターゲットに合ったコンセプトや内装、メニューを考えていくこと自体が面白い。それに、店舗ごとに業態を変えるのはコストがかかって非効率に思えるかもしれませんが、業態を変えることで、当社の店舗を複数、近い場所に出店してもお客様を食い合わないので、逆に効率がいいのです。100ものアイデアを実現するのは、確かに大変でしたけれどね」

 次から次へと新業態開発を成し遂げてきたアイデアの源は、本や映画、雑誌など、あらゆる情報源からのインプットだ。

「『クリエイティブは目から』。これは日頃から社員に話し、自分でも実践していることです。飲食店を訪れたときも、内装やメニューを注意して見る。街中の看板のデザインや、電車内の中吊り広告にも意識を向けます。昔から本や映画が好きで、映画は少なくとも週に1度は観ています。本や映画のストーリーや世界観が店作りのヒントになるのです。たとえば、『ベルサイユのばら』から『ベルサイユの豚』というコンセプトレストランを着想しました。物語の世界観を満喫しながら西洋ワインと肉料理を楽しめるエンターテインメント型の店です。1号店の錦糸町店の店内では、豚を抱いたマリー・アントワネットがお客様を出迎えます」

 

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著者紹介

松村厚久(まつむら・あつひさ)

〔株〕ダイヤモンドダイニング代表取締役社長

1967年、高知県出身。日本大学理工学部在籍中にサイゼリヤでアルバイトをしたことがきっかけで外食業に興味を抱く。89年に大学を卒業後、日拓エンタープライズ〔株〕に入社。96年、〔有〕エイアンドワイビューティサプライを設立し、日焼けサロンを展開。2001 年、外食業界に参入し、『VAMPIRE CAFE』をオープン。02年、〔株〕ダイヤモンドダイニングに社名変更。07年、大証ヘラクレス上場。10年、「100店舗100業態」を達成。14 年、東証2 部に市場変更。15年、東証1部に市場変更。

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