THE21 » マネー » 貯金がすべて「紙クズ」になる日に備えるには?

貯金がすべて「紙クズ」になる日に備えるには?

2016年08月09日 公開
2023年05月16日 更新

藤巻健史(フジマキ・ジャパン代表/参議院議員)

 

日本円の一部をドルに替え、お金を逃がしておけ!

ハイパーインフレが起きれば、日本円は紙くずと化す。

「英国のEU離脱後、円高ドル安に動いたことから、『日本円は避難通貨』などと言われていますが、冗談じゃありません。ハイパーインフレのリスクがある『危険通貨』と言うほうが正しいでしょう。Xデーが来たとき、日本円しか持っていなければ、パン一つすら買えなくなります」

そんな状態から身を守るためには、今のうちに、資産の一部を外貨に替えておいたほうがいい、と藤巻氏は勧める。

「ハイパーインフレのときに外貨があれば、それを換金して暮らしていけます。超円安になれば、輸出産業が復活しますから、それまでの数年間をしのげれば心配ありません」

外貨の中でも、最もお勧めできるのは、米ドルだ。

「ポンドもいずれ上がるでしょうから悪くはありませんが、なんだかんだいっても、最も経済が強い国はアメリカです。外貨に替えるのはあくまで保険のためですから、強い国の通貨を選ぶに越したことはありません」

ドルを買う手段はいろいろあるが、藤巻氏は、単純なドル預金か、ドル建てMMFが無難だと話す。

「ドル建てMMFのメリットは、短期の米国債などの公社債や格付けの高い社債で運用されているので、とにかく安全性が高いこと。1年未満の短期債券で運用されているので、金利が上がったとしても、値動きに影響がありません。大して増えませんが、手数料が安く、貯金代わりに持っておくと良いでしょう」

一方、株で儲けを狙うのはやめたほうがいいという。

「ダウ平均は史上最高値を更新し続けているので、気になるとは思いますが、その勢いがいつ止まるかわかりません。FRBが利上げを凍結しているのを見ても、今が株価のピークである可能性は十分にあり得ます。日本の財政が破綻すれば、アメリカ株にも少なからず影響が出ますからね。また、長期国債も、金利が上がれば、ドルベースでは損をします。今は守りの時期。下手に攻めると、やけどしますよ」

 

次のページ
どんな時代になっても負けない自分を作れ! >

著者紹介

藤巻健史(ふじまき・たけし)

経済アナリスト、参議院議員

1950年、東京生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。80年に行費留学にてMBAを取得(米ノースウエスタン大学大学院)。85年、米モルガン銀行入行。東京屈指のディーラーとしての実績を買われ、当時としては東京市場で唯一の外銀日本人支店長に抜擢される。2000年に同行退行後は、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーなどを務めた。1999年より2011年まで一橋大学経済学部、02年より08年まで早稲田大学大学院商学研究科で非常勤講師を務める。2013年に参議院議員に当選(現在は維新の党)。

THE21 購入

2024年5月号

THE21 2024年5月号

発売日:2024年04月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

藤巻健史 私が「今はドルを買え」という理由

藤巻健史(経済アナリスト/参議院議員)

デフレ時代のマインドのままではお金を増やすことはできない

松本大(マネックス証券代表取締役社長CEO)

好景気の今こそ、「自分のお金と生活」を守る対策を!

森永卓郎(経済アナリスト/獨協大学教授)
×