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人工知能(AI)のプログラミングには40代が適している

2016年10月11日 公開
2016年10月11日 更新

清水亮(UEI代表取締役社長)

40代の経験が生きるプログラミングの分野とは

昨今、スキルとしての「プログラミング」が話題になっており、子供に習わせる親も増えているようだ。「自分も学んでみたい」という人もいると思うが、果たして今から学んでモノになるのか、疑問に思う人も多いだろう。『教養としてのプログラミング講座』などの著書がある天才プログラマーの清水亮氏にうかがった。《取材・構成=前田はるみ、写真撮影=長谷川博一》

 

プログラミングとは「ものを動かす」手段

プログラミングに興味を持つ人が増えているようだ。ただ、「プログラミングとは何か」と聞かれて、明確に答えられる人は少ないのではないだろうか。「プログラミングとは、一言でいえば、自分以外のものを思い通りに動かす方法です」と話すのは、UEI代表取締役社長兼CEOの清水亮氏。その知識は、確かに仕事に役立つという。

「わかりやすい例で言えば、目覚まし時計の設定もプログラミングの一例です。明日、朝六時に目覚ましが鳴るようにプログラミングするなら、①朝六時に音を鳴らす(時間の設定)、②音量は中くらいで、水滴の音(音の設定)、③最初は小さく、だんだん音を大きくする(スヌーズ機能の設定)、④ボタンを押されたら音を止める(停止条件の設定)となります。このように、自分以外のものを思い通りに動かすために、手順を正確に記すのがプログミングです。
ビジネスの場面で言えば、ユーザーの気持ちを動かすための企画を立てるのも、組織全体をリーダーの意図通りに動かそうとするのもプログラミングだと言えます」

なぜ今、プログラミングが話題なのだろうか。

「『IT革命』と呼ばれる一連の動きが直接のきっかけでしょう。ただ海外では、1980年代から『STEM教育(科学、技術、工学、数学)』が注目されていて、コンピュータ教育は決して新しい話ではありません。たとえば80年代初め、イギリスの公共放送であるBBCが、数千円で買える安価な教育用コンピュータを全国の小中学校に配ったのは有名な話です。
私は1976年生まれの40歳ですが、その年にマイクロコンピュータが日本で発売されたことから『七六世代』と呼ばれています。『これからはコンピュータの時代だ』と言ってコンピュータ教育に熱心だった父の影響で、高校時代からプログラミングを学び始めました。
私と同学年には、はてなの近藤淳也さんや、スマートニュースの鈴木健さんら、プログラミングで一時代を築いた人たちがいます。IT長者という言葉が象徴するように、『二十一世紀にビジネスで成功した人は、プログラミングをやっている』という印象が世の中に広がったことも、プログラミング人気の背景にあるのかもしれません」

 

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40代でプログラマーを目指すのは難しい >

著者紹介

清水 亮(しみず・りょう)

ギリア〔株〕代表取締役社長

新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして世界を放浪した末、2017年にソニーCSL、WiL LLC.と共にギリア株式会社を設立、「ヒトとAIの共生環境」の構築に情熱を捧げる。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。主な著書に、『教養としてのプログラミング講座』(中央公論新社)、『よくわかる人工知能』(KADOKAWA)『プログラミングバカ一代』(晶文社)などがある。

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