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40代ビジネスマンがストレスを抱える理由

2016年10月13日 公開
2016年11月14日 更新

吉岡俊介(シニア産業カウンセラー)

 

「頑張らない」ことは怠けることではない

 こうした状況を変えるには、まず自分の本音に目を向け、自分の限界を認めることから始めてください。そのためには、友人や家族といった自分に寄り添ってくれる相手に、本音を素直に語ってみることをお勧めします。言葉にするだけでも頭の中が整理されて、気持ちがラクになるからです。身近な人に弱みを見せるのはどうしても抵抗があるなら、今は地方自治体が開設している無料の相談窓口もありますから、そこに匿名で電話をかけるのもいいでしょう。

 そして普段の会話では、「ありがとう」という言葉を積極的に使ってみてください。これは感謝の言葉であると同時に、自分の気持ちを肯定的に保つ効果があります。たとえば上司から抑圧的な物言いをされたときも、「嫌なやつだ」と思うと自分のストレスが増すだけなので、「貴重な助言をありがとうございます」と言ってみる。部下に対してつい怒ってしまったときも、「いろいろ言ったけれど、聞いてくれてありがとう」と言ってみる。職場だけでなく家庭などにおいても「ありがとう」と口に出すだけで、自分も相手も心が軽くなるはずです。

 いずれにしても、自分がストレスで弱っていると感じたら、「自分がラクになるにはどうしたらいいだろう」と考えてみること。「頑張らないこと=怠けること」と考える人は多いのですが、私は「スピードを落とすこと」と捉えています。走りやすい直線の道を進むときは、できる限りスピードを上げればいい。でもカーブに差し掛かったら、誰でもスピードを落とすでしょう。

 難しい局面を猛スピードで突っ走れば、曲がりきれずに崖から転落するだけ。最終的なゴールに到達することを目指すからこそ、途中でスピードを落とすことも必要なのです。ぜひみなさんも、常に頑張ることがベストではないと理解して、「タテ・モード」と「ヨコ・モード」をうまく切り替えてください。

《取材・構成:塚田有香》
《『THE21』2016年10月号より》

著者紹介

吉岡俊介(よしおか・しゅんすけ)

シニア産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

1954年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、東京海上火災保険㈱(現・東京海上日動火災保険㈱)入社。2001年、早期退職。その後、男性学、男女共同参画、フェミニズムなどを学びながら、04年より近畿の地方自治体を中心に「男性の悩み相談」の相談員を務める。07年、カウンセリングルームのオフィスよしおかを設立。著書に、『産業カウンセラーが教える「つぶれない働き方」の教科書』(彩図社)など。

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