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ドナルド・トランプ--名言に見る次期大統領の器

2016年11月30日 公開
2022年06月06日 更新

桑原晃弥(経済・経営ジャーナリスト)

大胆で強気、名言から見えるトランプ氏の人柄

アメリカの不動産王から一躍、大統領選挙に。最初は泡沫候補と言われたものの、確実に支持を増やし、見事次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏。その名言から独自の「成功思考」に迫る『ドナルド・トランプ 勝利への名語録』(桑原晃弥著/PHP文庫)から、いくつか彼を象徴する名言とエピソードを抜粋してご紹介しよう。

 

「やってみればいいではないか。
失うものが何かあるのか。」

2007年、トランプはプロレス団体WWEの会長ヴィンス・マクマホンに誘われ、代理レスラーによる髪切りマッチ「億万長者対決」に参戦している。反対する周囲の声に、こう言って反論したそうだ。このようにトランプは、不動産王というイメージに固執せず、リスクを取って新しい自分を開拓してきた。その彼が再び「やってみればわかる」と言ったのが大統領選挙だった。2015年の出馬表明に際し「勝てるのか?」と問われたトランプは、「それなら、やってみればわかるじゃないか」と答えたという。

 

「登る時は、足元の人々に気をつけろ。
降りる時、足元にいるのは同じ人々なのだから。」

この格言の逆をやって破滅した傲慢な不動産業者がいた、とトランプは回顧している。絶頂期はいつも銀行員をバカにし、平気で傷つけていた。そのため、不況になって銀行から取りたてられる立場になったとき。ひときわ過酷な仕打ちをされ、破滅に追いやられたのだ。トランプは、絶頂期にあっても銀行員と良好な関係を保つよういつも気を配っていた。そのため不況時にもトランプを破滅させようとする銀行員はいなかったのだ。

 

「正直に話すことだ。
自己弁護しないように気をつける。」

トランプは、鋭い質問を投げかけてくるマスコミの記者たちに対し、「記者たちとは正直に話すことだ。自己弁護しないように気をつける」ということを心がけている。では、真正面から言い返せないような意地の悪い質問をされたらどうするかトランプは、見方を変えて肯定的な言い方をするように努めている。たとえば、「なぜ金持ちだけを相手に建物を建てるのか」と問われれば、「建設工事によって貧しい人もたくさんの恩恵を受ける」と応じる。マスコミのペースには乗らないが、ごまかしもしない。これも正直さの一種だとトランプは考えている。

 

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